【スマートシステム学科】学生実験・スマートシステム応用実験(Ⅰ)に取り組んでいます!
スマートシステム学科では、IoT(Internet of Things)やAI、ロボットに代表される高機能技術(スマートテクノロジー)を支えるこれからの電気・電子工学とコンピュータによる制御技術が学修できます。講義で学んだ基礎知識を実験によって確かめ、理解を深めるために、学生実験にも力を入れています。今回は、現在の3年生が取り組んでいる「スマートシステム応用実験(Ⅰ)」の講義について、工学部スマートシステム学科(フェイスブックはこちら)ブログメンバーの伍賀が紹介します。
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スマートシステム応用実験(Ⅰ)では、電子、電気、通信機器、システム、制御について理解を深めるために「三相交流」「アナログ変調回路」「発振回路」「AD・DA変換回路」「PID制御」「温度センサ」「デジタル信号処理」「論理回路ロボット」「ロボットアーム」「シーケンス制御」「力学センサ」の11項目の実験を小グループに分かれて行います。学生の皆さんは、実験レポートを完成させて提出するのですが、その内容がルーブリックに従った評価をされますので、なかなか厳しい科目です。しかし、学生実験は理工系の授業カリキュラムの醍醐味、また、各実験は面白くてタメになる学修体験を目指して工夫されているのです。今回は、一部ですが学生の皆さんが、それぞれの実験に取り組む様子を紹介したいと思います。
AD・DA変換回路の実験では、センサなどで計測した値をコンピュータの中にどのようにして取り込むか(アナログ-デジタル(AD)変換)、コンピュータ内で計算した値をどのように出力するか(デジタル-アナログ(DA)変換)の原理と回路を学びます。学生の皆さんは、下の写真のような各種AD変換機、ラダーDA変換器を実際に使って実験を行います。
AD・DA変換器を使った実験の様子(実験指導は香川教授)
シーケンス制御実験では、空気圧で動くシリンダの実験装置を使って、タイムチャートの記述、空気圧制御弁やオートスイッチの動作を学びます。スイッチとリレー回路による制御は、コンピュータによる制御とは一味違いますが、基本的な技術知識です。
シーケンス制御の実験の様子(実験指導は沖准教授)
アームロボットの実験では、今年度よりDOBOTというロボットアームを導入し、各自のPCからアプリで動かせるようになりました。この機材を使って、ロボットアームの動作設計、ティーチングプレイバック、リンク機構の逆運動学などを学びます。私(伍賀)の担当実験ですが、このDOBOTという機材がなかなか面白く、学生の皆さんにも好評です。
DOBOTを使ったロボットアームの実験(実験指導は伍賀)
論理回路ロボットの実験では、下の写真のような迷路を脱出する自動走行ロボットを組み立てます。このロボットはマイコンを搭載しておらず、二つのタッチスイッチのON/OFFで車輪の回転を切り替えて、壁伝いに走行し迷路を脱出します。論理回路を組むのはなかなか大変で、マイコンのありがたみを実感できるというのが学生の感想です。
迷路を脱出するロボット製作の様子です。動かなくて苦戦中です。(実験指導は伍賀)
三相交流の実験では、送電の電力系統で一般的に用いられる交流回路についての理解を深めるため、実験回路を用いて波形や、回転磁界の発生を観察します。三相交流自体は、回路理論Ⅱという講義で学びますが、実験のために復習から行います。計算式が多くなかなか大変そうですね。
三相交流の理論を講義中(実験指導は歌谷教授)
発振回路の実験では、トランジスタを用いて持続的に交流を発生させる回路の原理を学び、いくつかの代表的な発振回路を製作して理解を深めます。ブレッドボードを用いて実際に回路を組み、オシロスコープで計測して発振波形を計測、作った回路の性能を実感してもらうことで特性を掴みます。
ブレッドボードを使って発信回路を製作中(実験指導は脇坂助手)
温度センサの実験では、サーミスタ、熱電対を用いた実験を行い、温度計測の主要原理を理解します。実験では、下の写真のようにビーカーの水を加熱したものを、サーミスタや熱電対の温度センサで計測しグラフを作っていきます。
温度センサの実験のため電熱コンロで加熱中(実験指導は菅原准教授)
今回は、スマートシステム応用実験(Ⅰ)の実験項目の中から7項目を紹介しました。各実験は、大変だったり難しかったりしますが、理解が深まった達成感と面白さも味わえる講義です。今年度は、対面授業も本格化し、より一層、深みのある学生実験になるように頑張っています!
学長から一言:スマートシステム学科で実施されている各種の学生実験の、ほんの「さわり」の部分なのでしょうが、「ものつくり」に興味関心のある皆さんにはたまらなく面白いのでしょうね。門外漢の私などにはちんぷんかんぷんの言葉も少なくありませんが、自動走行ロボットのくだりなど、想像するだけでウキウキして来ました。本当に役立つ知識や技術を身につけて、全員が優れた技術者に育ってもらいたいものです。