【薬学部】米国生理学会雑誌の「best of the best」論文に採択!

【薬学部】米国生理学会雑誌の「best of the best」論文に採択!

薬学部分子免疫学研究室本田真知子助手が中心となって行った研究が「米国生理学会誌」に掲載され、さらに「best of the best」論文に採択されました!今 重之教授からの報告を学長室ブログメンバーの五郎丸が投稿します。

掲載された論文は、福山大学から以下のようにプレスリリースされております。また、米国生理学会からも世界に向けてプレスリリースされております(APSselect article for May, 2022.)。

 


免疫制御に関わる新たな分子メカニズムの発見!

福山大学薬学部本田真知子助手今 重之教授らの研究グループは、腎臓形成に関わる分子ネフロネクチンが自己免疫疾患の発症と深く関わるTh17細胞の分化を亢進させ、免疫抑制性T細胞であるTreg分化を抑制することを明らかにしました。

本研究グループは、自身が開発したネフロネクチンに対する機能阻害抗体を用いることで、多発性硬化症のマウスモデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の増悪化を抑制できることを見出しました。そのメカニズムを解析した結果、ネフロネクチンは必須微量元素 “セレン” の輸送に関与する分子であるセレノプロテインPと結合することにより活性酸素種を減少させ、Th17細胞分化を亢進、Treg分化を抑制させることでEAEを増悪化させるという新規免疫制御機構を明らかにしました。

本研究で見出されたネフロネクチン-セレノプロテインP-活性酸素種というネットワークを遮断できる阻害剤は新たな自己免疫疾患治療薬の開発に繋がると期待できます。

 

【論文発表の概要】
論文名:Nephronectin influences EAE development by regulating Th17/Treg balance via reactive oxygen species.(ネフロネクチンは活性酸素種を介してTh17/Tregバランス制御によりEAE増悪化に関与する)

著者:Honda M, Segawa T, Ishikawa K, Maeda M, Saito Y, Kon S.

公表雑誌:American Journal of Physiology-Cell Physiology. Volume 322, Issue4.

公開日:2022年3月28日

 

【本研究の問合せ先】今 重之(こん しげゆき)(薬学部教授)

【E-mail】kon@fukuyama-u.ac.jp


 

その後、本論文が米国生理学会誌の「best recently published articles」となり、さらに「best of the best」論文に選抜されました。以下が「best recently published articles」であるAPSselectの証書です。

 

2022年5月17日には、米国生理学会からも世界に向けてプレスリリースされました。

米国生理学会プレスリリースFindings suggest key kidney protein also important for immune regulation

“The research team delved further into the connection between nephronectin and the immune system, identifying its role in a chain of cellular processes that stimulate an immune response. Finding therapeutics that disrupt these mechanisms could uncover novel treatment options for autoimmune diseases.”

 

学長から一言:素晴らしい!の一言に尽きます。日々の弛まぬ研究努力がこのような輝かしい結果に結びついたものです。本田助手、そして今教授など分子免疫学研究室の皆さん、本当におめでとうございます。今教授の指導の下、皆さんの驚異的な頑張りぶりは、研究活動の活発な薬学部の中でも際立っており、こちらの外野席まで常日頃から届いていましたが、やはり努力する者は報われることが証明されました。

 

 

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