【海洋生物科学科】内海生物資源研究所に新たな施設ができました〜因島キャンパスの増改築

【海洋生物科学科】内海生物資源研究所に新たな施設ができました〜因島キャンパスの増改築

新緑が美しい季節となりました。陽射しも初夏を思わせる眩さで、キャンパスの自然もキラキラと輝いて見えます。因島キャンパスの前に広がる瀬戸内海は空の色を反映して青く煌き、穏やかな初夏の風が渚を吹き抜けていきます。この因島キャンパスに、新たな施設ができました。内海生物資源研究所有瀧所長海洋生物科学科・教授)から施設の紹介レポートが届きましたので、学長室ブログメンバーの阪本がお知らせします。

因島キャンパスの増改築

尾道市因島にあります内海生物資源研究所(因島キャンパス)は、福山大学が推進する「瀬戸内の里山・里海学」の中核的な施設として利活用されています。この度、新たな施設が建てられ、既存のスペースが改築されましたのでご報告します。

因島キャンパスは、眼前に瀬戸内海が広がる広島県尾道市因島大浜町に設置されています。福山大学の本学キャンパスや最寄りの尾道駅からは、ともに車で20~30分程度と附属の臨海施設としては、とても利便性の良い場所にあります。因島キャンパスは、平成元年に福山大学の研究・教育を地域へお披露目する「窓」の役目を担ってオープンしました。キャンパスには小規模ながらも大学としては珍しい水族館(マリンバイオセンター水族館)の他、海産魚類の飼育設備、約50名が宿泊できる建物や100名を収容できる研修室、実験室などが整備されてきました。しかし、建築後30年を過ぎ、様々なところに老朽化が見られることや、当初の予定を超える入学者の増加などを受け、この度新しい施設の増築と既存設備の改築を行うこととなりました。内容は、①新棟(5号棟)の新築、②共同実験室、③標本庫・標本処理室、④飼育スペースの改築になります。

福山大学因島キャンパス・内海生物資源研究所。眼前に瀬戸内海が広がります。

①新棟(5号棟)

因島キャンパスには、生命工学部海洋生物科学科の4研究室が開設されています。これまでは、それぞれの研究室ごとに教員や学生たちが集まり、研究やゼミ活動を行ってきました。しかし、各研究室は瀬戸内海、水族館、飼育施設のフィールドを中核に、お互い有機的に連携しながら活動を続けています。以前からもっと繋がりを持って交流できるような取り組みができないかとの意見がありました。この度の新棟建設は、そんな思いを体現したコンセプトになっています。

新棟(5号棟)

1階には4名の教員の居室が並び、そのすぐ前には多くの学生が集まるゼミ室が置かれています。4研究室の学生たちは、それぞれの取り組みを担当教員のみならず、他の研究室の学生や教員と共有、議論することでより理解を深めていくことを考えています。

ゼミ室

また、このフロアーには100名を収容できる講義室も設置され、授業や研究発表などに使われる予定です。

講義室

2階は泊まり込みで研究を実施する際や外部からの研究者・学生を受け入れるため、宿泊可能な居室が4部屋、簡易のキッチン、それに男女別にシャワー室とトイレがあります。それと、学生たちが休息・歓談できるスペースとして、1階ゼミ室と同面積の学生実習室を設けました。

学生自習室

②共同実験室

①で説明しましたが、これまでそれぞれの研究室は別々の場所で実験、観察を行ってきました。しかし、実験室もできれば共有にした方が、お互い理解も深まり、より連携して効率的な活動が可能です。そこで、以前は研修室として用いていたスペースを大きな共同実験室に改築していただきました。4つの実験台を島にして、研究室固定ではないフリーアドレスでの使用を考えています。

共同実験室

③標本庫・標本処理

因島キャンパスの教育・研究の過程で、多くの生物標本の作製や保存が研究室ごとに行われてきました。標本は展示や研究、さらにはそれらを用いての学会発表や、論文作成に使用されます。中には非常に貴重なものや、長期間連続的に採取された標本がたくさんあり、福山大学の重要な財産だとも言えます。特に、論文作成に使用された標本は一定期間しっかりと保存することが義務付けられているのに加え、外部からの要望があれば公表、貸与する義務があります。そこで今回、因島キャンパスの標本を一括管理する標本庫及び標本を、学生・教員が処理、観察できる処理室を新たに設置してもらいました。特に、処理室には大型の局所排気装置を2台置き、標本を固定・保管する薬品などの扱いが、しっかり安全にできるようになっています。

標本庫(右)、標本処理室(左)

標本処理室排気装置

④飼育スペース

因島キャンパスの飼育施設では、水産有用種の増養殖の研究、技術開発、水族館では生物の展示やそれらを用いた教育活動が展開されており、どちらも福山大学の大きな特徴となっています。しかし、活動が盛んになるのにつれて飼育や水族館のバックヤードの現場が手狭になってきました。そこで今回、鉄骨の上屋のみで資材を保管する場所だったところを整備して、これらの課題が解決可能なスペースを確保しました。ここでは、海水、空気、淡水、電気のインフラが整備され、半分は飼育実験を、もう半分は水族館のバックヤード機能を担う場所として活用する予定です。

飼育スペース

さて、以上のように今回、因島キャンパスの大規模な増改築が行われ、学生及び教員の集約的、効率的な活動が可能となりました。1番の効果は、学生たちがワイワイ楽しく勉学できる拠点ができたこと、またそれらをベースに、研究・教育の大きな更なる進展が見込まれます。ハードの整備はソフトの発展を後押しする、後々そう言われるようしっかり活用していきたいと思います。

 

 

 

学長から一言:新装成った因島キャンパスを先日訪問し、つぶさに見て回りました。海辺のこの施設はそこに行くだけでも気持ちが良いのに、新たな宿泊施設や共同実験室は以前よりずっと使い勝手が良くなったようで、嬉しい限りです。「育てる漁業」の養殖部門も勢いに溢れ、内海生物資源研究所の前途は洋々のようです。附属水族館も、コロナ禍が収まって、入場者で溢れる日々が戻って来ることが待ち遠しいです。

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