【国際経済学科】新任教員の紹介 ~上林篤幸教授~

【国際経済学科】新任教員の紹介 ~上林篤幸教授~

今年度、国際経済学科へ新たに着任の教員の一人が上林篤幸教授です。学長室ブログメンバーの白が行ったインタビューの様子をお伝えします。ちなみに、上林教授の専門分野は、農産物マーケット見通し、計量モデル分析、地域研究(EU、中国)、フードシステムです。

 

 

Q1.福山大学への赴任前の事(前職の内容等)を聞かせて下さい。

実家が農家だったので、農業と関わりのある仕事をしたいと思い、農林水産省に入りました。当初は行政に携わり、国際交渉や食料安全保障政策の策定、国会対策、食品業界の利害調整など様々な政治的課題に取り組みましたが、途中で国際機関(OECD=経済協力開発機構)に出向する機会があり、各国の農業保護政策がマーケットに及ぼす影響を数値で評価する、という研究的な仕事にやりがいを感じました。帰国後、志願して研究職(農林水産政策研究所)に転籍し、その分野の研究をずっと続けてきました。

 

Q2.福山大学の印象を聞かせて下さい。

人文科学、自然科学の両方をカバーする総合大学であり、またカリキュラムもこの強みを生かして幅広い視野で学ぶ事が可能になるよう組み立てられているので、ここでの学びを通じて大きく成長する可能性を提供できる大学であると感じました。

 

Q3.福山大学生の印象はどうですか。

新入生オリエンテーションに参加したのみのこの段階で印象を語るには材料不足と思いますが、自分が大学生であった頃と大きな違いはないと思います。新しい学生生活への不安と期待が素直に現れているとの印象を受けました。

 

Q4.福山市の印象はいかがですか。

やや失礼な表現になるかもしれませんが、想像していたより何でも揃っているという点で東京とあまり変わりはないとの印象を受けました。また、気候が安定しており、新鮮な魚が良心的な価格で手に入る、という点では東京より快適です。

 

Q5.現在の研究テーマについて簡単にお聞かせ下さい。

世界の農産物マーケットの変化の方向性を予測したい、もし政策改革が見込まれるのであれば、その影響を計測したい、今後を見通したい、という「将来」への問題意識が研究テーマの最大の背景です。テーマの設定においては「この研究が何の役に立つか」という現実世界との関わりが最も重要と考えます。手法としては、先入観を排したデータの分析や計量経済学に基づく客観的な評価の実施を心がけています。

 

Q6.担当授業の内容について簡単にお聞かせ下さい。

「EU経済論」、「専門英語」、及び「ゼミ」を担当します。EUは単一国家ではなく「多様性と調和」を目指した諸国家の集合体であり、それが今後のヨーロッパにとり最善の選択という各国間のコンセンサスの帰結かもしれませんが、イギリスのようにEUとの離婚を選択する国もあります。その背景には現在の重要な社会問題、及びそれぞれの国や地域が歩んできた長い歴史が存在し、人々も日常的にそれらを意識しているようです。経済にとどまらず歴史や文化も加味し、EUやヨーロッパに対する総合的な理解が深まるような内容にできればいいなと考えています。「専門英語」については、英文Eメールの書き方を通じ、英語による意思の伝達はそんなにハードルの高いものではなく、中学高校での英語知識が備わっていれば誰でも十分コミュニケーションが取れる、という事を自分のOECDでの経験も紹介しつつ学生の皆さんに体得してもらいたいと思います。

 

Q7.この大学で成し遂げてみたい事があればお聞かせ下さい。

野心的な目標とは思いますが、大学での「学び」に関し、本人の自覚次第で地方と大都市の間のギャップは消える、と学生の皆さんに実感してもらえるような「学びの場」を提供できるようになればうれしいです。

 

Q8.趣味はありますか。

「街歩き」をするのが好きで、休日に自転車で遠出をしたり通勤経路以外の路線に乗りました。家ではテレビ番組「世界ネコ歩き」を楽しんでいます。時間ができたら福山市や近郊の街に出かけてみたいと思います。また、野球が大好きです。もう試合でプレーするのは難しいと思いますが、もしキャッチボールに付き合ってくれる人がいればとてもうれしいです。

 

Q9.座右の銘はありますか。

孫子の「兵法」中の「敵を知り己を知れば百戦危うからず」です。これは何も戦争や争いに関する事ではなく、何か実現したい目標があればまず対象や相手を分析し、次に自分を客観的に評価し、更にこれらを組み合わせて利害得失を検討した上で取りかかる、また目標達成の見込みが小さい場合は潔くあきらめて次の機会が訪れるのを待つ、という事であると私は解釈しています。例えば、スマホを買い替えたい時、最新の高機能モデルに飛びつくのではなく、自分が求めている新しい機能は何か、どの会社のどのモデルが求める機能を提供しているか、不必要な機能が盛られていないか、自分の予算はいくらか、などをよく検討して決める、場合によっては新機種が出るまで待つ、という事です。そうする事によって「しまった!」と後で後悔する事を減らす事が可能と思います。もっともそうは言いつつもまだ失敗を根絶できないのですが、最低限同じ失敗を繰り返さないよう反省の評価を行う事を心がけているつもりです。

 

Q10.経済学部の学生に期待する事、メッセージをお願いします。

大学生活は「なりたい自分を探し出す」「その実現を目指す」場として、おそらく長い人生の中で最初に訪れるチャンスだと思います。しかし、自分から積極的にアクションを起こさない限りこのチャンスの活用は困難です。「まず考え次に行動してみる」、「無理だと思えば無理押しせず一歩下がって別の方法を考える」という積極的かつ柔軟な発想を心がけて欲しいと思います。失敗や撤退は次のステップへの教訓であり、何ら恥ずべき事でもないし、それで致命傷を負う確率は学生の間は限りなく小さいです。自ら考え動いて試行錯誤と成功や失敗の経験を積み重ねれば、必ず今後の人生に役立つはずです。

 

 

学長から一言:上林教授、福山大学へようこそ! 長年にわたる農林水産省での行政官としての華々しいバックグラウンド、さらにOECDへの出向期間中などに培われた国際感覚や農業問題を中核とする各国経済に対する深い洞察と研究成果を携えての本学への赴任で、弥が上にも期待が高まります。所属学科である国際経済学科はもとより、経済学部、いや謦咳に接する全学の学生に深遠な影響を与えて下さるよう願っています。また、瀬戸内の暮らしを存分に満喫して下さい。

この記事をシェアする