【薬学部】3名の教授による最終講義が行われました!
今年度、本学を退職される3名の薬学部教授による最終講義が3月10日(木)に行われました。上敷領准教授の報告について、学長室ブログメンバーの五郎丸が投稿します!
・福山大学での教育と研究を振り返って −江藤精二教授−
江藤精二教授は、2004年に福山大学に着任されて以来19年間、病院薬剤師の経験を持つ臨床系教員として、本学薬学部の教育・研究に大変ご尽力されました。特に、4年生が受験する共用試験(OSCE)の運営では中心的な役割を担ってこられました。
最終講義では、癌治療における薬剤師の役割の変遷をご紹介いただき、臨床で活躍するためには薬学部の基礎科目の内容が非常に重要であることを教えていただきました。江藤教授は、薬学教育の中でも、特に癌治療に力を入れてこられました。癌治療の領域は進歩が著しい領域です。「新たな治療薬や知見が出てきたら、すぐに講義内容をアップデートし、学生の知識が時代遅れにならないように努力してきた」という話がとても印象的でした。
・化学と生物の接点を求めてさまよった40年 −藤岡晴人教授−
藤岡晴人教授は、1983年に福山大学に着任されて以来40年間、本学薬学部の教育・研究に大変ご尽力されました。特に、有機化学分野の教育・研究では中心的な役割を果たされてきました。
最終講義では、これまで携わってきた研究内容をご紹介していただきました。藤岡教授は、生体のメカニズムを化学で解明したいとの考えのもと、特に酵素モデルとしてアザクラウンエーテルに着目して様々なアザクラウンエーテルをデザインされ、その分子の機能を明らかにするとともにその応用として医薬品や検査薬の候補化合物を見いだされてこられました。また、インフルエンザ治療薬タミフルの副作用がどのようにして起こるのか、化学の視点からの解析結果は、大変興味深い内容でした。
・代謝学への重要な一役を求めて −森田哲生教授−
森田哲生教授は、1988年に生化学研究室の講師として着任されて以来34年間、本学薬学部の教育・研究に大変ご尽力されました。特に、生化学分野で中心的な役割を果たしてこられました。
最終講義では、恩師の先生方と共にさまざまな研究領域で活躍され、研究者としての礎を築かれたお話を伺うことができました。森田教授は、一貫して代謝学を中心とした研究を推進してこられました。福山大学に着任されてからは、脂質代謝学やアミノ酸の機能と特性、核酸代謝、癌化学療法の基礎的研究などにご尽力され、代謝学に精通した多くの薬剤師を育ててこられました。講義の最後では、恩師の「細やかでも最前線を目指せ!」という言葉を紹介され、学生・教員を鼓舞していただきました。
コロナ禍により人数制限した上での開催で、希望者全員が聴講できなかったのは残念でしたが、長年勤務された3名の教授の本学での取り組みに薬学部の歴史を感じ、印象深い最終講義となりました。
竹田沙記助手も退職されます。お疲れさまでした!
学長から一言:3月は別れの季節です。社会の他の組織もそうでしょうが、大学をはじめとする教育機関はとくに、学び舎を巣立っていく卒業生とともに、長らく勤務された方々が離れて行かれます。寂しい限りですが、人生には常に区切りというものが付いて回ります。感謝するとともに、これからのご多幸をお祈りしながらお送りしたいものです。せっかくの貴重な最終講義でしたのに、別用務との関係で聴講が叶わず残念なことをしました。