【薬学研究科】大学院生と卒業生が博士学位論文公聴会で発表!
2月8日(火)、薬学研究科4年生と薬学部卒業生の2名が博士学位論文公聴会で研究内容を発表しました。このことについて、薬学部学長室ブログメンバーの五郎丸が報告します!
初めに大学院博士課程4年の藤井朋保さんが発表しました。
藤井朋保さん
発表は「乳癌治療における癌細胞の脂質代謝やこれに対する治療薬について、リポタンパク質リパーゼに着目し研究を行った。今回の成果は、癌性羸痩(るいそう:やせること)の改善や薬物治療後の癌細胞の再活性化抑制等の癌細胞の脂質代謝に着目した新しい治療法に貢献できる。」という内容でした。
研究中の藤井朋保さん
藤井さんは6年制薬学部を卒業後、臨床現場では経験できないことを大学院で学びたいと考え、森田哲生教授の指導の下、がんに関する研究を4年間行いました。大学院修了後は、がん治療に関わる薬剤師として現場で働き、臨床現場と大学を繋げる役割を担いたいと考えているそうです。
次に卒業生の岡田昌浩さんが発表しました。
岡田昌浩さん
発表は「終末期がん患者の予後の予測は重要であるが、薬剤師が独自に判断できる予後予測の指標は非常に乏しく、医師の予測に頼っているのが現状である。そこで、薬剤師のための予後予測指標を開発し、がん患者への薬物治療に貢献する。」という内容でした。
尾道市立市民病院での岡田昌浩さん(一番右)
2007年に本学を卒業した岡田さんは、現在、尾道市立市民病院薬剤部に勤務中であり、がん薬物療法認定薬剤師として多くのがん患者さんのケアに関わっているそうです。その業務で得られた知見を学会で発表したいと思い、恩師である杉原成美教授を訪ねたことを機に、学位取得を目指すようになったそうです。
勤務先の病院で本学5年生(両隣)の実務実習を指導中の岡田さん(中央)です
今回の博士学位論文公聴会は、両演題ともがんに関連した発表で、臨床と関わり深いテーマでした。コロナ禍で、人数制限の中行われた公聴会でしたが、お二人の発表後には、それぞれ活発な質疑応答が交わされ、大変有意義な会となりました。
学長から一言:薬学研究科で課程博士と論文博士の審査の一環である博論公聴会が成功裏に終わったようで、何よりです。研究成果の発表に臨んだお二人はお疲れ様でした。薬剤師の立場から癌治療に携わった貴重な成果や経験が纏められた論文のようで、きっと今後大いに役立つことでしょう。癌は男女とも日本での死亡原因のトップに位置づく厄介な病気。患者を救うために地道な研究が重ねられたことに敬意を表します。