【薬学部】第5のがん治療法:学生が新薬の開発に携わる!
薬学部の製剤物理学研究室の教員と学生による研究成果が国際学術誌Cellsに公開されました。このことについて、筆頭著者である白川真講師からの報告を薬学部ブロガーのGo.が紹介します。
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薬学部の研究室は、基礎薬学分野(化学系、物理系、生物系)、衛生薬学分野、医療薬学分野、薬学臨床分野の多岐にわたる領域を専門とした20研究室からなり、学生は3年生後期から6年生までの期間、各研究室へ分かれて課題研究に取り組んでいます。研究室リストはこちらをご覧ください。
国際学術誌Cellsに公開された論文タイトル:A Novel Boron Lipid to Modify Liposomal Surfaces for Boron Neutron Capture Therapy
日本人の死因の第1位であるがんに対する治療法は、大きく外科治療(手術)、化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療に大別されます。最近では、ノーベル医学生理学賞を受賞の本庶先生が見出された第4の治療法「がん免疫療法」を選択する患者さんも増えています。
我々はこれに次ぐ第5のがん治療法「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」に対する新薬の開発を続けてきました。BNCTは2020年に保険適応されたばかりのがん治療法ですが、その治療効果の高さはすでに臨床研究において明らかになっています。
我々はこれまでに多数の新薬特許を取得していますが、今回はその中の一つ「BNCT用リポソーム」に関する研究を論文化しました。これは、すでに臨床応用されているホウ素薬剤(ボロカプテート)を閉鎖小胞であるリポソームの外側に修飾させたもので、治療効果のさらなる向上が期待できます。
高校生の皆さん、薬学部は薬剤師になるためだけの学部ではありません。国内だけで年間約40万人もの方が亡くなられるがん患者さんを救う研究に一緒にチャレンジしてみませんか?博士課程の大学院生も随時募集しています!
学長から一言:がんを患う人たちが待ち望んでいる研究成果を生み出す仕事に薬学部の弱冠5年生が深く関わり、その結果をまとめた論文が学術専門誌に掲載されたという実に嬉しい報告。「素晴らしい!」の一言に尽きます。榧木 翔さん、白川講師の指導の下、よく頑張りました。この研究に携わった全ての人たちを讃えたいと思います。専門的内容で門外漢には難しい用語も含まれていますが、きっと弛まぬ努力の結果だと想像します。こうした優れた研究成果が、薬学部のみならず本学の各学部・学科、研究室から次々と生まれることを願わずにはいられません。