【海洋生物科学科】ふるさと海辺教室♬
因島キャンパスのマリンバイオセンター水族館は、令和2年4月6日以降、新型コロナウイルス感染症の影響により現在も一般公開を控えていますが、近隣の学校関係者からの要望を受け、学内での協議を踏まえた上で感染症対策を講じながら一部受け入れを続けています。その一つが、尾道市環境学習推進事業「ふるさと海辺教室」です。先月、開催した海辺教室について、海洋生物科学科の水上講師からレポートが届きましたので、同学科学長室ブログメンバーの阪本がお伝えします。
ふるさと海辺教室
この活動は、尾道市環境政策課主催事業の一つで、次世代を担う尾道市内の小学生たちに尾道市の豊かな自然環境をより深く身近に感じてもらうことで、自分たちを取り巻く環境に関心を持ち、それを守り育てていこうという意識を高めていくことを目的に実施されるものです。マリンバイオセンター水族館では平成28年度から継続してこの活動に協力しています。特に、平成30年度からは海洋生物科学科の学芸員養成課程4年次生の学内実習の一環と位置付け、水族館を活用した海洋教育プログラムの開発とそれらを活用した「博(博物館)学(学校)連携」の教育効果についての理解を促すための大切な活動の一つになっています。
今年度は、尾道市立因島南小学校6年生の児童59名を対象に、9月14日(火)に計画していたものが緊急事態宣言の発出を受けて一度中止されましたが、様々な行事が中止になっている児童たちのためにも何とか小学校生活の良い思い出を残してもらおうと、尾道市や小学校とも協議を重ね、11月11日(木)にようやく実施に至りました。
オリジナルのプログラム
「ふるさと海辺教室」は1日を通したプログラムで、当日の潮汐時間などを考慮しながら海岸での屋外活動と水族館見学を含む所内学習の時間に分けて行います。担当する学芸員養成課程の学生たちが話し合いを重ね、毎年オリジナルのプログラムを構成します。準備の過程では、学内実習の時間を使って実施計画案を作成しました。
実施当日は朝に干潮を迎える日程のため、午前中に海岸活動を行い、午後からは水族館見学と講義室学習の時間構成となりました。また、事前調査の結果から実施時期や潮位に配慮し、生物採集は困難と考えて海岸を散策しながら漂着物を集めて、海洋ゴミ問題に関する講義へ発展させる内容となりました。
また、当日は内海生物資源研究所で定期的に実施している地曳網調査日と重なり、有瀧所長をはじめとする調査メンバーとともに地曳網も体験することができました。
マダコ、コノシロ、クロダイなど採集された生き物にみんな興味津々でした。
さらに、午後からは密を避けるため2組に分かれて、海洋ゴミ問題に関する講義室学習と瀬戸内海の生物多様性などを理解する水族館学習の入れ替え制を取りながらの進行となりました。児童たちの真剣なまなざしに、学生たちの説明にも力が入りました。
そして、活動の最後には参加者全員で記念写真!! みんな笑顔での解散式となりました。
この後、児童たちは学校に帰ってからも授業の時間を活用してグループごとの活動新聞を作成し、完成した新聞は一度お預かりして、学生たちのコメントを付けて返すことになっています。また、学生たちは児童から回収した活動アンケートをもとに、自分たちで立案・実施した水族館を活用した海洋教育プログラムの有効性について評価し、今回の活動を終えることになっています。
尾道市と連携したマリンバイオセンター水族館での「ふるさと海辺教室」の受け入れも定着し、まさに大学全体で取り組む「瀬戸内の里山・里海学」にもマッチしたプログラムになってきました。さらに、次世代を担う地域の子どもたちに瀬戸内の豊かな環境を引き継いでいくための重要な活動と位置づけ、今後も学芸員資格取得を目指す学生たちと一緒に展開していきたいと考えています。
学長から一言:コロナ禍のために小学生も校外での集団活動が限られ、おそらく閉塞感を覚えていることでしょう。そんな中で因島キャンパスの施設を開放しての「ふるさと海辺教室」。海岸散策と海洋ゴミや環境保全の理解、附属水族館見学、それに地曳き網漁の体験まで、潮の満ち引きを考え、安全にも配慮して周到に計画された盛り沢山の活動が詰まったプログラムに、きっと子ども達は大喜びだったことでしょう。また、学芸員資格取得を目指す学生諸君には良い学びの機会。まさに「一石二鳥」の優れもの。受け入れに尽力した全ての皆さん、本当に良くやりましたね。