【薬学部】卒業生がカナダで薬剤師になりました!
薬学部の2015年度卒業生である新地恵里香さんから、カナダの薬剤師国家試験に合格したとの報告が届きました!新地さんは、本学在籍時には漢方薬物解析学研究室(岡村信幸教授)に所属し、研究・学習ともに大活躍の才媛です。せっかくなので、近況報告をお願いしましたら快く引き受けていただきました。卒業後も努力を積み重ねて一つの目的を達成した卒業生の姿について、薬学部ブログメンバーの五郎丸が紹介します!
【近況報告】
2016年3月に薬学部を卒業後、愛媛県のレディ薬局に就職しました。学生時代から海外の薬剤師の仕事に興味があり、サンキュードラック主催のアメリカ薬剤師研修に参加したこともありました。勤務していた日赤病院前の薬局では、海外からの患者さんに服薬指導することもあり、卒業後も英語の勉強は続けていました。その結果、大学の頃は550点程度しか取れなかったTOEICで700点を越すスコアが取れるようになりました。
薬局で1年半働いたのを期に、2017年9月にワーキングホリデーという形でカナダのブリテッシュコロンビア州にあるバンクーバーに行きました。この当時は、まさかカナダで薬剤師になろうとは考えてもいませんでしたが、ワーキングホリデーが終わる頃にはカナダに残りたい気持ちが強かったので、2018年の夏頃に薬剤師の資格試験に挑戦することを決意しました。結果、2020年1月に「Evaluation Examination」という海外薬剤師向けの試験に合格し、2020年8月から2021年3月までUniversity of British ColumbiaによるCanadian Pharmacy Practice Programに参加して、3ヶ月間の実務実習準備のための講座や薬局実習を修了後、2021年6月に無事「the Pharmacy Examining Board of Canada」による国家試験に合格しました。そして、今年の8月から薬局実習でお世話になったShoppers Drug Martというコミュニティー薬局で薬剤師として働き始めた次第です。
薬剤師にはなれましたが、毎日学ぶことがたくさんあります。薬剤師が薬局で予防接種を行うことは、わりと良く知られているかもしれませんが、emergency supplyと言って処方箋なしで薬剤師が処方箋医薬品を提供したり、verbal prescriptionと言って処方箋の内容を医師から電話を通じて口頭で受けることもあります。個人的には、日本の薬局の方が遥かに患者さんに寄り添った形の薬局サービスを提供しているように思いますが(カナダでは医薬品の受け渡しの際、新しい薬でない限り、薬剤師アシスタントが薬剤師に質問はありますか?と聞くだけで服薬指導は必ずしも行われていませんし、薬歴もほとんどの場合は必要ありません)、一方でカナダの薬剤師は職権がより広く、professional judgementを駆使する場面が多いように感じます。
また、プライベートでは週末にビーチに行くことが多いですが、ハイキングに行ったりテニスをしたりすることもよくあります。バンクーバーには、カナダ人だけではなく他の国の人が本当にたくさん暮らしていて、なかには発展途上国からより良い生活を求めてカナダに移住している人もいます。私は、日本で生まれ育って本当に幸せだと感じています。どこにいても、薬剤師として患者さんの役に立ちたい気持ちは同じですが、いつか日本でまた薬剤師として働き、薬剤師の質の向上や職権の拡大に貢献できたらと願う次第です。
学長から一言:「カナダからの手紙」という歌謡曲が昔ありましたが、今回のブログはカナダで薬剤師資格を取得して頑張っている卒業生の新地さんからの頼もしい近況報告。海外勤務の最大の課題である言葉の問題も、熱い思いがあればこそ、地道な努力で乗り越えてきた様子が想像できます。カナダ国内でも民族や言語が多様で、約半数の住民は公用語の英語以外を話すと言われるバンクーバーで、コミュニケーション力が大切な薬剤師の仕事をこなすのはとりわけ大変でしょう。どうぞ元気で活躍して下さい。同時に、薬学部在学生の皆さんの中から、たくましい先輩に続く人たちが続々生まれることを願っています。