【税務会計学科】日商簿記検定、2度目の自校開催!

【税務会計学科】日商簿記検定、2度目の自校開催!

 6月13日(日)、自校開催2度目となる第158回日商簿記検定試験が本学で実施され、多数の学生が受験しました。試験の様子と学生の簿記検定試験への取組の様子について、税務会計学科の関下が報告します。


 経済学部では例年、日商簿記検定試験に合わせて簿記検定対策講座を実施しています。今年度も6月検定を目指した対策講座を実施しました。今回は、4月24日(土)から5月29日(土)までの土曜日と日曜日に全6回開かれるもので、1日平均15名、延べ約90名を越える参加がありました。この講座では、大学院生のTAを活用して支援に当たる者の人数を増やすなど、きめ細かい対策に腐心しました。

講座の様子

サポート役の院生TA

 

○検定の変更点

 今回、目標の6月13日(日)に実施された日本商工会議所簿記検定では、試験形式が昨年12月に始まったネット試験(試験センターでパソコンを使って受験する方式)に準じて改訂されました。中でも、簿記3級の改訂内容は大きなものになっています。

○大きな変更点

・試験時間の変更(2級:120分→90分、3級:120分→60分)

・問題内容・問題数の変更(3級:大問5問→3問)

・問題用紙・解答用紙・計算用紙の一体化

 3級の最大の変更点は、問題数の減少(5問→3問)と試験時間の短縮(120分→60分)です。ここだけ捉えると、受験者の負担が軽減されると思いがちですが、大区分の問題数は減少するものの、第1問の仕訳問題は従来の5問から一気に3倍の15問になります。全体のボリュームからすると、問題は20%減、その反面試験時間は50%減少となり、スピード勝負の感じが強まっています。

 これまでは、配点の多い問題への重点的な取組を行っていましたが、今後は仕訳の正確性とスピードへの対策が求められるようになっています。

○改訂の理由

 この改訂の理由には、企業での経理実務の変化により、より正確で早い仕訳が求められていることが挙げられます。実際の経理では、帳簿に手書きで記入することは極めて少なくなっています。中小企業は言うに及ばず、個人商店でも経理ソフト・経理アプリなどを用いて、仕訳は選択式あるいはAIによって摘要から科目を自動判断するというものさえあります。

 そのため、手書きでする作業は極めて少なくなっており、よりシステム入力への対応力を付けるため仕訳問題では勘定科目を手書きさせず、5個の設例からの記号での選択式となりました。

 経理実務者には、仕訳が即座に浮かぶことが経理システムへの入力を正確に迅速に行うという、実務上必須のスキルに直結するということになります。現在の簿記検定は、実務に合わせるよう要請されており、その要請に応じて時代に合わせ変化しています。

 簿記の理論を押さえつつも、実務に役立つスキルとして育てる必要があります。言い換えれば、簿記教育も実務に併せて変化させる必要があります。改訂に併せて教え方の工夫をすることも検定対策に求められていることであると考えます。

○コロナ感染症対策

 簿記検定試験と対策講座は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けてその実施が変化しています。

 昨年は、感染拡大の影響で、特に6月は検定自体が中止となり、本講座も中止のやむなきに至りました。その後の検定・対策講座については予定どおり実施されましたが、合格者数や学習推進に少なからず影響を受けました。

 今年度は、5月以降感染の拡大期に入り、広島県内にも緊急事態宣言が発出される状況になりましたが、昨年の同時期と異なるのは、コロナへの基本的な対応は既に確立されており、また大学における感染防止対策も整っていたことです。

マスクをして受講する学生

○検定試験と自校開催の様子

 簿記検定試験は、今年の2月に初の自校開催で実施しました。また、6月の158回検定は2度目の自校開催となりました。本学の受験者からは、「日頃と同じ慣れた環境で落ち着いて受験することができた」「会場が自分の大学だったのでアクセスが容易だった」「バスの時間も試験に合わせて設定され便利だった」との声も挙がり、一定のメリットがあったことが窺われました。多大なご協力をいただきました大学当局、教務課、経済学部事務室各位に厚く御礼申し上げる次第です。

2月簿記検定での自校開催の様子(2級)

 今回も受験を希望する学生とともに、教員も対策講座を準備するなど、ともに走ってきました。一人でも多くの合格者がでるよう最後まで学生と走りきったところですが、結果がどうでるか怖くも楽しみでもあります。また、統一試験以外にもネット試験でいつでも簿記検定が受験できるようになっており、上位の資格取得を薦めたり、学習への取組を継続させたりする仕組み作りが急務と考えています。合格者増に向けて、さらに取組を進めてまいりたいと考えています。

 

 

学長から一言:日商簿記検定試験の本学を会場とした実施とそのための対策講座の企画・運営、お疲れ様でした。日頃使い慣れている教室で本番の試験が受験できるのは学生諸君にとっては強みでしょう。また、受験準備の対策講座を延べ6回も開催するのは並大抵の苦労ではないと思います。「仕訳問題」「勘定科目」など日常用語からは少々離れた専門用語の中身をあれこれ想像しましたが、簿記は税務会計の業務に携わる人にとっての「いろは」なのでしょう。是非とも一人でも多くの合格者、とくに上級検定の合格者が生まれることを願っています。

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