【建築学科】卒業設計スタディ第1案講評会を開催!!

【建築学科】卒業設計スタディ第1案講評会を開催!!

 今年度から開講の新科目『スタジオ演習』の紹介です。卒業設計に取り組む建築学科の4年生が受講しています。この新科目は受講生全員が頑張っていて、中間発表会(6月末)で求められる内容以上の作業をすでに行っている学生もいるようです。このことについて、科目主担当である大島教授からのレポートを学長室ブログメンバーの伊澤が紹介します。

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 この授業は、卒業設計を行う4年生を対象とする少人数の演習であり、建築設計の実務経験のある教員として、長岡客員教授後藤講師(非常勤)、大島教授の3名が担当しています。

 教員1名が5回分の授業を担当し、各5回目には3名の教員による講評会を行い、学生は最終的に3つの設計案を作成することになります。その第1案の講評会が、5月25日(火)に開催されました。

 この演習授業は、卒業設計のレベルアップを目的としていますが、その中でも特に初期のテーマの設定が重要となります。一つの考え方にとらわれて、その後の進展が思うに任せないことが往々にしてありますが、複数案を作り別の見方をすることによって、最初の考え方の長所と同時に欠点も見えてきたりします。

 授業開始からまだ5回目ですが、受講生は全員、A3の用紙2枚にまとめた梗概を提出し、パワーポイントによる発表を行いました。

 さらに、卒業設計においては、最終的に何らかの「かたち」をつくることになりますが、その「かたち」の根拠が求められます。初期の段階では、「かたち」のもとになる社会的背景、歴史、敷地の地形的特性、周辺環境との関係等のコンテキストに対するリサーチ作業に時間をかけることになります。

 今回は、コンテキストのスタディ内容とテーマ設定の適切さ、及びそれらから導き出される「かたち」の可能性等について、3名の教員による講評が行われました。

 学科の卒業研究・卒業設計の中間発表会は6月末に行われますが、受講生たちは、既にそれに求められる内容以上の作業を行っています。

  なお、今回の発表で見られた特徴的な提案として、以下のような面白いテーマが含まれていました。

  • 300年続く西条祭りの熱気と西条市との関係に着目した提案
  • 福山駅前の伏見町を敷地とし、かつての濠(ほり)を再現してサードプレイスの場をつくる提案
  • 気候現象のバタフライ効果を建築的に再現しようとする提案
  • 19世紀の都市計画的思潮であった都市と田園との関係を今日的に読み替えて再考した提案
  • 広島市民球場跡地に戦後何もない状態からの復興を象徴する「原っぱ」と、その日に水を求め彷徨い続けた人々の思いの象徴としての親水公園の提案
  • 出雲の神話とその歴史性に着目し、出雲にしか成立しない美術館の提案

 第2案以降も、さらに密度を上げて良い作品がつくられることを期待しています。

 

 

学長から一言:未来の建築家の諸君が知恵を絞って生み出すアイデア。話を聞いたり、読んだりしている者は気楽なものですが、きっと当人たちは「産みの苦しみ」を味わっていることでしょう。無から有を作り出す仕事はどんなことでも大変でしょうが、苦労の先にはしっかり「かたち」が残ります。大いに悩むことを楽しみましょう。そして、斬新なアイデアが次々と生まれることを祈ります。。

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