【情報工学科】科研費を新たに3件獲得!
情報工学科では、科学研究費を3名の教員が新たに獲得しました。それらの教員の研究紹介を兼ねて、情報工学科長の尾関が報告します。
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4月1日(木)はエイプリルフールで有名ですが、大学の先生にはそれ以上に大きな行事があります。それが、科学研究費(略して「科研費」)の採択発表です。科研費とは、文部科学省所管の独立行政法人日本学術振興会の研究助成事業で、そのホームページには「科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金/科学研究費補助金)は、人文学、社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的とする「競争的研究資金」であり、ピアレビューによる審査を経て、独創的・先駆的な研究に対する助成を行うものです。」と書かれています。実際、若手研究者からノーベル賞受賞者までが科研費の恩恵を受けています。大学教員は毎年10月に応募し、翌年4月1日の採択発表を心待ちにしています。今年度の応募では、情報工学科から8名の教員が応募し、3名の教員が採択されました。
以下、科研費に採択された情報工学科関係の研究を紹介します。
最初は、山之上卓教授の課題です。基盤研究(C)に採択されました。山之上教授は、2015年度に情報工学科に赴任で、ネットワーク管理運営の専門家です。
採択課題名:「WikiとBotを使ったIoTシステムの管理運営の負担軽減に関する研究」
研究概要:「物のインターネット(Internet of Things, IoT)の普及が拡大しています。IoTシステムは分散システムであり、大きなIoTシステムにおいては、その構成要素であるセンサデバイスやゲートウェイなどの機器の数も増大し、その管理・運営に必要な負担も増大することが予想されます。IoTシステムのセキュリティ強化については、すでに多くの研究プロジェクトが実施されていますが、IoTシステムの管理運営に必要な労力の削減についての研究はあまり行われていません。本研究では、IoTシステムの管理運営に必要な負担軽減を、我々が研究しているWiki Botを利用することで実現しようとするものです。」
手短に説明すると、これからたくさん増えそうな物のインターネットシステム(IoTシステム)の面倒を見る手間を簡単にする方法を提案し、その方法がある場合とない場合を比較して評価しよう、というものです。下図がそのイメージ図となります。
次は、池岡宏准教授の課題です。池岡准教授も、2015年度に情報工学科に赴任で、専門は画像工学です。ディープラーニングなどの人工知能技術やコンピュータビジョンなどの最新手法を研究に取り入れています。今回は、基盤研究(C)で採択されました。
採択課題名:「可視光から近赤外光域における波長分散とBPF絞りを用いたアオリ撮像による距離推定」
研究概要:「可視光域から近赤外光域における波長分散やバンドパスフィルタ絞り(BPF絞り)を活用して得られたぼけ分布の異なる画像群を利用し、アオリ光学を利用した距離推定技術の性能向上を目指す。」
手短に説明すると、複数のぼけ画像を用いた新しい距離推定技術の研究を提案しています。下図がその提案方法のイメージ図となります。
最後は、吉原和明助教の課題です。若手研究に採択されました。吉原助教は、2019年3月に大学院博士課程を修了して2020年度に情報工学科に赴任の、超若手です。吉原助教は、ICT機器を用いた教育工学を専門としています。
採択課題名:「物理的表現手法を用いた無線LANを安全に利用するための教材開発に関する研究」
研究概要:「中学校や高等学校では、情報セキュリティを学習することが必修化されています。情報セキュリティの学習の多くは事例紹介や対策紹介であり、実践的な学習に適切な教材や学習環境がないため、実験や実習を行うことが難しくなっています。本研究では、情報セキュリティにおける無線LANの安全な利用を題材とした物理的な表現手法を用いた教材を開発し、実際に授業で教材を用いた実践を通して、学習コンテンツとして提供することを目的としています。」
中等教育でのセキュリティ教育に実際のネットワーク機器を用いて体感してもらうような新しい教育方法の提案をしています。
以上、研究課題が科研費に採択された皆さんの素晴らしい研究成果を期待しています。
学長から一言:山之上教授、池岡准教授、吉原助教、それぞれの研究テーマによる科研費採択、おめでとうございます!学科として応募者8人中3人採択ということは、採択率37.5%。情報工学は時代の寵児、花形分野です。日進月歩の技術に追いつき、追い越すのは大変でしょうが、魅力的な研究テーマの発掘と研究の展開を期待しています。その結果、次は是非とも応募者全員の採択を目指しましょう!