【心理学科】「ものづくり × 心理学」: ユニ・チャーム株式会社との共同研究が学術誌に!(3)
製品開発に心理学が貢献!衛生マスクと小顔効果についての研究成果です!最近は、マスクをつけている時間がマスクを外している時間よりも長いのではないかと思いますが、今回はマスク開発に貢献する最新研究についてです。認知心理学研究室の宮﨑由樹准教授より紹介していただきます。(紹介は心理学科の福留)
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日本人間工学会の学術誌「人間工学」の56巻6号に、福山大学・北海道大学・ユニ・チャーム株式会社の共同研究の成果「顔面下部のサイズ情報が顔の見かけの大きさに強く影響する」を発表しました。
顔の見かけの大きさを判断するときに顔のどの部位の物理的な大きさが関係しているかを調べ、顔の下側の部位(あごの広さ・ほほ幅等)のサイズが強く関係していることを示した研究です。
日本人は「小顔」に対するあこがれが強いです。
この関心の高さは20世紀末には既に一般に定着していたようですが、ファッション・メイク専門誌等で毎月のように見かける小顔に関する特集記事からも分かるように、その関心は高まり続けています。
こういった関心の高さに反して、どのような顔の手がかりに基づいて私たちが他人の顔の見かけの大きさを判断しているのかに関しては,よく分かっていないことが多いです。
この研究では、実験の参加者に男女132名の顔全体の見かけの大きさを100段階(「1 (非常に小さい)~100(非常に大きい)」) で評価してもらいました。
また、同時にその男女132名の様々な顔部位の物理的な大きさを寸法計測しました。
その結果、「額の長さ」や「目の大きさ」といった顔の上部の物理的な大きさに比べて、「あごの広さ」や「ほほ幅」といった顔の下部の物理的な大きさ (上図の赤矢印の部位) が、顔全体の見かけの大きさを評価する際の強力な手がかりとなっていることが分かりました。
近年、顔を小さくみせるための製品が日本社会で流通し始めています。
衛生マスクに顔をスリムにみせる機能を求める声はコロナ禍以前からあったものですが、本研究はそういった小顔にみせる衛生マスクを開発する際の基礎データとしても活用されています。(論文の中では、衛生マスク着用による小顔効果についても報告しています。)
このように、産業界と連携した研究が福山大学の心理学科では行えます。
また、ユニ・チャーム株式会社との共同研究はその他にもあります。これまで実施した共同研究についても、よろしければご覧ください (過去の取り組み1、過去の取り組み2)。
さらに、現在進行中のフロアワイパーに関する研究についても、いずれ紹介したいと思います。
高校生の皆さん、福山大学の心理学科で企業が抱える課題の解決に一緒にチャレンジしてみませんか?!
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企業からも心理学の研究が必要とされていることが分かりますね。今の世の中でマスクは必需品ですから、今後一段と研究の必要性も高まっていくのではないでしょうか。共同研究はマスク関連だけではないとのことで、更なる続報にも期待です。
学長から一言:世界中の人がマスクを付けている時代、というのは今が初めてではないでしょうか。。。そうなると、ファッション的観点も無視できない。。。確かに、素敵な絵柄のマスクを付けた人、素顔より素敵だったりして。。。