【生物工学科】学生向け「お酒の講座」を開催!
広島三次ワイナリーの太田醸造長に、2年生の授業である醗酵生産・醸造学で講義していただきました。11月11日(水)、【生物工学科】学生向け「お酒の講座」の開催です。
本講義の担当で、福山大学ワイン醸造所長の吉崎が報告します。
お酒の講座
「お酒の講座」は広島国税局の企画で、昨年に引き続き行われました。酒税は国の根幹を支える貴重な財源でもあるため、酒文化の継承のために若い人にお酒に親しみを持ってもらうことが目的です。生物工学科では、ワイン醸造を教育・研究の柱の1つにしていることもあり、今回は広島三次ワイナリーの新進気鋭の醸造家である太田直幸醸造長にお話をいただきました。
英語を学ぶため、単身ニュージーランドへ
講義では、まず太田醸造長がワインに深く関わることになったきっかけが語られました。もともと大阪の都会育ちの太田さんは、ブドウ作りにもワイン造りにもまったく縁がなかったそうです。1997年に英語を学ぶため単身ニュージーランドへ渡り、当初半年もあれば英語が話せると思っていたものの全然そうはいかなかったそうで、もともと食に興味があったこともあり農業を手伝い始めたとのことでした。ブドウ畑を一所懸命に世話しているうちに、やがてそれがどのようにワインになるか興味を持ち始め、同国のリンカーン大学の門をたたいて専門的にワイン造りを学び始めたとのことでした。
30歳を過ぎてからの挑戦、リンカーン大学では準修士を取得されたとのことです。すごい行動力ですね。2013年に帰国され、2015年に同社醸造長に就任されました。その後の活躍は全国的にも有名で、各ワインコンクールで金賞や銀賞と多数受賞されています。
ワインは科学と芸術の融合
講義では、お酒のマイナス面と良さが語られました。マイナス面はお酒の弱い人や嫌いな人にアルコールを勧める、アルコールハラスメントがその最たるものということでした。急性アルコール中毒で大事な若者の命が失われたりアルコール中毒で人生を棒に振る人は多く、これは私も何度も教えているところです。良いところはやはり円滑なコミュニケーションのツールになるというところが大きいとのことでした。太田さんは、特に家族と過ごす大切な時間を強調されていました。例えば、クリスマスや誕生日など特別な日に美味しい食事とともに良いお酒を少しいただくことです。話を聞くだけで暖かい家族のイメージが伝わってきます。
そして、印象的だったのはワインは科学と芸術の融合したものという太田さんの考えでした。確かに、ワインは微生物学をはじめ植物学や栄養学などのバイオテクノロジーのエッセンスが集まったもので、そのため私たち生物工学科もワイン造りを教材に教育研究を進めています。
では、どういうところが芸術かというと、ワインはブドウの状態をみて醸造家が最適と思われる醸造法で醸しますが、その選択の積み重ねこそ芸術に他ならないということでした。確かに、醸造技術は無数にあり、同じブドウを用いたとしても出来上がるワインは醸造家によってかなり違います。嗜好品である以上、それを評価するのは消費者であり、色々な感想があります。時に1本100万円以上の価値を見出す人もいて、ワインは芸術というのも頷けます。
国税庁のHPによると、広島県のワイナリーは8つ、まだまだ数は少ないですが、日本ワインの生産量は全国11位とのことです。太田醸造長の活躍もあって、今は日本のワイン産地として注目されています。これからこの土地のポテンシャルに気がついて、ワイン造りに参入する人 も増えると思います。生物工学科としても研究や人材輩出の面から支えていけたらと思っています。
学長から一言:国税庁も頑張っていますねッ!本学のワインづくりも頑張りましょう!科学と芸術の融合を求めて、豊かな人間作りのための教育の一環として!!!