【スマートシステム学科】工学教育賞を受賞しました!
近年の製造業界で、開発業務の効率向上、品質向上、高付加価値の新製品の生み出す方法として注目されている『モデルベース開発』(MBD)という手法をご存知でしょうか? 福山大学工学部スマートシステム学科(フェイスブックはこちら)の香川教授と沖准教授は、数年前からモデルベース開発研修会の講師として活躍し、テキスト「実習で学ぶモデルベース開発」(コロナ社)も執筆しています(テキスト内容の一部はこちら)。
このような取り組みが高く評価され、この度、香川教授と沖准教授が日本工学研究協会より工学教育賞を受賞し、松田学長に受賞報告を行いましたので紹介したいと思います。
モデルベース開発テキストと工学教育賞の賞状です。
この『実習で学ぶモデルベース開発』とは、どんな内容なのでしょうか? 講師を務める香川教授に教えていただきました!
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この数年、優れた燃費、優美なフォルムと情熱的なカラーリングの自動車を次々とリリースし注目を浴びてきたマツダ株式会社(以下、マツダ)が、世界を驚愕させる低燃費の内燃機関エンジンを実現できたのは、エンジンだけでなく、車体全体の設計にモデルベース設計(MBD)の手法を取り入れたからです。
この設計手法は、設計して実際に物を作る前に、設計図(モデル)の状態で計算機上で計算によって実物の能力や不具合を推定検証し、改良を行うというもので、実機(実物)の作り直しを極力抑えると共に、常識を超えた条件での検証(通常、このようなことを実機で検証することは、よほど潤沢な資金がない限り、特に企業では現実的に不可能)ができるという、最大の利点があります。
これにより、マツダは定説を覆す条件に最適解を見つけるという離れ業をやってのけ、あの低燃費をたたき出すことができたのです。これまでの「常識」で無理とされていた限界を超えた条件を適用するとそこに最適解があったのです。これは発見の部類になります。
この、モデルベース開発(MBD)を自動車産業に限らず広くモノづくりに活かそうという発想から、約10年前に広島県(実施はひろしま産業振興機構)が経済産業省からの委託事業として社会人研修を立ち上げました。私は、縁あって、そのカリキュラム制定等端緒から携わらせていただいており、長く講師の一人として参加しています。また、6年前からは沖准教授にも講師に加わっていただいております。この講座は、内容が充実され広島大学のマツダ寄付講座にもなったことからテキストを書籍化しようということになり、2018年5月に出版されました。
受賞報告を行いました。左から香川教授、松田学長、沖准教授
MBD社会人研修(正式名称「モデルベース開発プロセス研修」)は、2018年に制定された経済産業省の『第4次産業革命スキル標準講座』に初回から認定されたこともあり、書籍の注目度も好調のようです。( https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/reskillprograms/pdf/kouzaichiran2.pdf )
モデルベース開発とは、「実物」を作る前の知的なものづくりであり、ここにこそ大学工学部で習得する理論の意義が含まれ、工学の思想、知識と技能だと言えます。特に、資源の自給が難しい日本、そして人口の少なくなる日本では、益々無駄の少ない開発が求められます。そして、その発想はモノづくりにとどまりません。
福山大学は、この講座で活用しているMATLABの包括ライセンスを所有しており、MBDを学生の教育にも活用できる環境にあります。福山大学を卒業した人材が、広島県東部地域にモデルベースの設計思想を広めることになることが期待できます。
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学長室での受賞報告風景です。
今年度より、MATLABを使った授業や実習が本格化したのは、以前ブログで報告した「【工学部】PC利用環境を一新、科学技術計算ソフトがどこでも使いやすく!」のとおりです。スマートシステム学科のますます充実する人材育成教育にご期待下さい!!
学長から一言:私が“工学哲学伝道師”と呼んでいる香川教授の熱弁でした!この熱弁に共鳴する高校生の皆さん、ぜひ福山大学の工学部へ、スマートシステム学科へ、おいでください!お待ちしていま~す!!!