【大学教育センター】「遠隔教育」についてシンポジウム開催!
「遠隔教育を考える」FD研修が実施されました。その報告が、大学教育センター長の大塚豊教授から届きました。(担当T投稿)
9月14日(月)の午後1時から、大学会館大ホールで大学教育センター主催による全学FD研修の一つとして、第7回教育改革シンポジウムが開催されました。今年のテーマは「遠隔教育を考える」。降って湧いたようなコロナ禍の下、ほとんど全ての教員が取り組まざるを得なくなったオンライン教材等を用いた遠隔授業を取り上げるというタイムリーな企画でした。日頃は1号館の大講義室で開催しているシンポジウムですが、今回は「三つの密」を避け、感染予防に最大限の注意を払うために大学会館大ホールでの開催となりました。相当に余裕をもって着席できる会場ですが、それでも大人数で集まるのを憚る人のために、別室(CLAFT教室)でのパブリック・ビューイングの準備までしましたが、結局、その利用者はありませんでした。「遠隔授業に関するシンポジウムなのだからオンラインで行っては?」という声も聞いていました。しかし、今後、全教職員が一堂に会するような集会を開く際のモデルを考えておく上でも、敢えてあの形が良かろうと考えました。当日の様子について、主催部局である大学教育センターを代表して報告いたします。
さて、松田学長から開会にあたっての挨拶で幕が開きました。最初の登壇者は、外部からの基調講演者としてお招きした北陸大学経済経営学部長の山本啓一教授です。山本先生は遠隔授業に限らず、IRへの取り組みをはじめとする大学教育改革の諸問題に対して積極的な発言を続けられ、大学の運営をめぐる卓越した実践でも注目を集めていらっしゃいます。また、山本先生をお招きしたのは、他にも理由があります。北陸大学と本学は奇しくも開学年が同じ1975年で、薬学部を擁し、文系・理系の数学部からなる地方の私立総合大学であり、おまけに全国に15か所しかない孔子学院まで附設しているという共通点があります。とんでもなくかけ離れた大学の事例などでは雲の上の話になるかもしれませんが、きっと本学の教職員にとっても参考になることも多かろうと考えた次第です。
山本先生からは予想どおり、さまざまな興味深い遠隔教育をめぐる実践の体験が語られました。いかにして教職員の意識を高めたか、遠隔授業にまつわる種々の困難をどう乗り越えたか等々、限られた講演時間の中で見事に纏められたばかりか、福山駅からの車中で私との会話を承けて、本学により役立ちそうな内容のスライドを急きょ現場で予めご準備いただいたものに追加して下さるというサービスぶりでした。話の中では、本学のようにLMS、学修マネジメントシステムであるCerezo(=社会での通称はmanaba)やZoomに限定せず、かなり多種多様なオンラインツールの活用実態に触れられました。また、「コマシラバス」と命名された初等中等教育では当たり前の授業ごとの「指導案」にあたる詳細なシナリオの事前作成の効果等は、特に印象に残りました。
続けての第二部は、学内関係者からの発表でした。トップバッターは、大学教育センター教育改革部門長でもある薬学部の佐藤英治教授でした。予め実施した本学の遠隔教育に関するアンケートの結果を踏まえ、ネットワーク環境及び個別の授業科目における遠隔教育の実際に関する評価の結果を俯瞰して伝えました。各質問項目のうち、授業の形式や課題の形式などの項目が5点満点の4.36、4.39など高得点であった一方、教員からのフィードバックやサポートが3.91といくぶん低い評価であったのが注目されました。やはり、学生は担当教員の丁寧さ、誠実さ、面倒見の善し悪しをしっかりと見ているのでしょう。これは対面授業でも同じことでしょうが、遠隔の場合には特に重要な意味を持ちます。一教員として肝に銘ずべき結果でした。
次に、授業形式の違いによる3つの事例報告がありました。①本や資料など文字情報をセレッソにアップする方式では人間文化学科の村上亮准教授、②音声や動画を含む電子ファイルのアップではスマートシステム学科の香川直己教授、③同時双方向のリモート授業では建築学科の佐々木伸子准教授の登壇でした。さすがに、上記のアンケートにおいて高評価を受けた各授業です。直面した問題点や苦労話も含めて、いずれも熱っぽく自身の遠隔授業体験を語りました。
最後に、限られた時間でしたが、発表者全員がステージに上がり、フロアからの質問を受けながら全体討議を行いました。2時間半が短く感じられたほど、充実した内容で今回の教育改革シンポジウムを無事終了することができました。コロナ禍がもたらし、期せずして起こった大学教育方法の大変化はすでに「ポイント・オブ・ノーリターン」を越えたようです。後期の授業開始まであとわずかですが、今回の研修内容や見聞が今後の我々一人一人の授業改善に役立つことを願わずにはいられません。
学長から一言:私も最後までしっかり参加しました。。。最初の佐藤教授の授業評価アンケートの結果は、もちろん中には評点の低い方もありましたが、大旨対面授業と遜色なく安心しました。。。三名の教員の授業実践の報告は、ICT機器の特性・特徴を三人三様に生かした素晴らしい授業実践で、参加者全員の参考になったと思います。。。後期も学生のより良い学びに向けて、コロナに負けず、がんばりましょう!!!