【経済学科】コロナ禍においての福山市の経済に関する強みと今後の展望について

【経済学科】コロナ禍においての福山市の経済に関する強みと今後の展望について

マクロ経済学が専門である早川達二教授にインタビュー形式で話を伺いました。テーマは、コロナ禍における、福山市の経済に関する強みと今後の展望についてです。このことは経済学科にとっての重要テーマと考えられますので、その内容について、学長室ブログメンバーの中村が伝えます。

 

世界銀行やアジア開発銀行などに勤めたこともあるマクロ経済が専門の早川達二教授

Q.コロナ禍における福山市の経済的な観点からの強みとは何だとお考えですか?

福山市の強みとしては、部品などの中間財を扱っている企業が多いので受注は減っているかもしれませんが、観光業やサービス業などが主要産業の地域よりは痛手が少ないと思われます。車などは受注が落ちる可能性がありますが、新築やリフォーム、そして災害復旧など中間財の需要や伝統的な繊維産業に強みがあり、地域経済を支えていると考えられます。

 

Q.今後、福山市の経済動向は如何にお考えですか?

観光業などが主要産業の地域に比べ、この地域では経済の落ち込みは緩やかな右肩下がりになると考えられますが、車や鉄の需要低下による影響は出ており、コロナ禍が長引けばどういった結果になるのかが心配されます。

 

福山市の地域経済について内に秘めた闘志で語る早川達二教授

Q.サービス業については、いかがお考えですか?

中間財が強い地域ではありますが、私たちの生活を豊かにしてくれるサービス業を軽視してはなりません。これらについて、飲食店などは非常に苦しい状況にあると思いますが、(株)エブリィでは福山市内での売り場を飲食店のために提供する取り組みを実施しており、自社の利益だけではなく地域全体を考えた連携が行われています。

また、先日、福山市にある洋裁印刷店のロウエンが、NHK「おはよう日本」のまちかど情報局という全国放送番組で、マスクをしても顔がわかる“そっくりマスク”というコロナ禍において笑顔になれる商品を開発したことが放送されていました。こういったコロナ禍に対応する共存共栄の経営や地域独自の発想をそれぞれの立場で実施しているところに、福山市のサービス業の力強さを感じます。

 

Q.国や福山市としては、どういった対応が期待されますか?

国の目線では、税金控除や所得に応じての現金支給など大胆な財政出動や消費税についても議論しなければなりません。福山市としては、雇用調整(人を辞めさせず労働量を減らす)助成金の福山版の構築や需要促進のためにも期限付きの商品券や食事券などが期待されています。また、本学の要望として、学生の就職内定を取り消さないための補助金などを通じて、少しでも多く新卒者を雇用していただければと思います。

 

ペンシルバニア大学で経済学博士を取得する頃から愛読する国内外のマクロ経済に関する書籍の前にて

Q.最後に、今後についての展望をお願いします。

世界経済の回復まで長期戦が見込まれるなかで、製造販売や雇用維持などの企業の努力とそれを効果的に支える行政との協力が大切だと思います。福山市の強さを活かしながら、JR福山駅前の再開発推進など再選された枝廣市長のリーダーシップを期待しつつ、同窓生の更なる活躍と本学への支援をお願いできればと思います。しっかりとコロナ対策をしながら本学を含め、それぞれの業種で共存共栄の精神をもって乗り越えていきましょう。

 

学長から一言:コロナ禍による地域経済の被害を小さくし、コロナ後の活性化に向けて、地域の大学としては、しっかり知恵を出し、行動する必要がありますねッ!

この記事をシェアする