【海洋生物科学科】「生きものクエスト」のご案内
春の到来?!
寒い日々が続いていると思えば、数日前にキャンパス内を歩いていると、ウメの花が咲き(写真下)、池のほとりにはアカミミガメ!?(写真上)が姿を現していました。驚いて近寄ると、これはミイラ化した死体でした。久々の投稿となります、海洋生物科学科の渡辺です。
自宅にある古代中国で考案された二十四節気に基づくカレンダーによると、新暦の2月下旬のいまの季節を「雨水」(うすい)と呼び、雪から雨へと変わり、降り積もった雪も溶け出し、春の足音を感じる頃を意味するそうです。まったくその通りの天気になっていることに驚き、昔の人の自然への知識に敬服いたしました。
さらにカレンダーをめくると、つぎにやってくる3月上旬を「啓蟄」(けいちつ)と呼ぶそうです。大地が温まって、冬ごもりから目覚めた蛙や蛇(蟄)が、穴をひら(啓)いて顔を出す頃という意味だそうです。ひと雨ごとに暖かくなり、いよいよ生きものたちが再び活動する季節です。私のような生きもの好きには、これからが楽しい季節になります。また、そうでない方にも、これからの季節にぜひご紹介したい情報があります。
「バイオームランド」いきものを探して、冒険しよう
JR×BIOMEコラボ企画(2020年3月1日~5月31日)
昨年12月に福山大学生命工学部のセミナーで講演していただいた藤木庄五郎さん(株式会社バイオーム・代表取締役)から、バイオームというスマホアプリを用いた上記のイベントに関する情報を寄せていただきました。藤木さんの福山大でのセミナー(写真下)では、福山大学の学生のほかにも外部の方々が参加し、活発な議論が行われました。その様子は、大学サイトにアップされておりますので、ぜひご覧ください。
バイオームは生物種名を判定するAIなど生き物に関する様々な機能を備えたスマホアプリです。見つけた生きものの写真をスマホで撮り、それをバイームアプリでUPすると、トップ画像のアカミミガメのようにAIが生物種を判定し、それを登録することでポイントを得ることができます。ポイントに応じてレベルが上がるため、遊び感覚(リアルポケモンGO!)で生物情報を収集することができます。さらに収集された膨大な生物情報は、専門家により分析され、将来的に生物多様性の保全に生かされることを目指しています。
上記期間には、JR沿線にある様々な地域で特別なイベント(クエスト)が開催されるそうです。イベントといっても、たくさんの人が集まるわけではなく、指定された地域でこのアプリを使って自然観察をするというものです。最近は、新型コロナウィルス等の感染症のリスクが高まりつつあります。これからの季節は、スマホ片手に何気なく見過ごしてきた身近な自然に目を向けてみてはいかがでしょうか。きっと現実世界がゲームのように面白くなるはずです。
バイオームを取り入れた学生実験
昨年、海洋生物科学科では、1年次の学生実験でバイオームを使った因島キャンパスでの磯の生物観察(写真上)を行いました。バイオームは一般の方々を対象とした自然観察会などで利用が進んでいますが、大学教育での利用は今回がはじめての試みでした。
これまでの学生実験と比べると、誰もが長時間に渡り観察に集中できることや、AIによる生物種の判定技術と生物情報をデータベースとして共有することの意義、さらにその生物情報が将来的に生物多様性の保全にどのように利用されるかを考えるなど、これまでにない学習成果が得られました。詳しい実習内容については、福山大学の研究報告として以下のようにまとめています。ご興味のある方はこちらもご覧ください。
渡辺伸一(2020)生物情報収集アプリ(バイオーム:Biome)を用いた瀬戸内海中央部因島大浜海岸における沿岸動物リストの作成.福山大内海研報 (30), 7-18.
計110名の学生が参加した観察の結果、因島キャンパス周辺の磯で、なんと64種もの海洋動物の生息を確認しました。今後も、学生実験でバイオームを使って、因島キャンパス周辺でクエストを続けていく予定です。将来的には、因島キャンパス周辺で膨大な生物情報が収集され、瀬戸内海の生物多様性の保全に役立つことを期待しています。
学長から一言:バイオームを使った因島キャンパスでの磯の生物観察は、ワクワク感満載ですねッ!!!私もそんな授業、受けてみた~い!