【薬学部】健康サポートフェアでの学生の学び
本学薬学部教員と地域の薬剤師の有志から成る「広島びんごフィジカルアセスメント研究会」は、毎年11月に健康サポートフェアを学校法人福山大学社会連携推進センター(旧学校法人福山大学宮地茂記念館)で開催しています。
今年度は、11月24日に第5回を開催し、これまでで最も多い90名の地域住民の来場があり盛会となりました。健康サポートフェアは、これからの地域薬局に求められる新たな機能について研究を行うことを目的に開催していますが、同時に本学学生の学びの場ともなっています。今回は、学生たちの学びの場としての健康サポートフェアの成果について、2つ紹介したいと思います。(薬学部 杉原成美 教授の報告を、学長室ブログメンバー五郎丸が投稿します)
1つは、その健康サポートフェアでの取組みは、教養教育科目の「セルフメディケーション(2)」のフィールドワークとしても適当であると判断され、活用されていることです。
健康サポートフェアでは、疾病予防の視点から発症に至らないための課題や地域薬局でのサポート体制などについて研究活動を行う場所として、地域薬局を介して来場された地域住民に対して、健康に対する意識や生活習慣へのアンケート、セルフチェックに協力していただきデータを収集します。収集したデータについては、フェア会場でフィードバックと簡単なアドバイスを薬剤師が地域住民の方に行いますので、地域貢献のイベントにもなっています。
「セルフメディケーション(2)」の履修学生はスタッフとして協力、また実際に地域住民の一人として体験してもらい、健康イベントの意義を学ぶ機会を提供しています。フィールドワークでの学びを深めるために、学生たちは健康サポートフェアの目的や地域住民の健康に及ぼす意義について事前学習を行ったうえで参加します。さらに、事後学習としてスモールグループディスカッションを通して体験した内容をまとめ、プレゼンテーションを行います。
セルフメディケーション(2)では、フィールドワークとして健康サポートフェアを含めて4か所を設定しているため、今年度の合同プレゼンテーションは12月13日に行いました。健康サポートフェアに参加した学生たちは、フィールドワークを通して座学だけでは得られない貴重な体験ができたと感想を述べました。自分の健康は自分で管理することや定期的に健康診断を受診する大切さを改めて認識したようでした。また、地域の方に対する薬剤師さんの接し方を実際に間近で見ることができて勉強になったとの感想もありました。
もう1つの学生たちの学びの場としての健康サポートフェアの成果についてですが、学生の卒業研究の対象となっていることです。
健康サポートフェアから得られた研究成果は、学会発表を行っています。地域住民の方へのフィードバックの一つとして、第5回健康サポートフェアにおいても、会場内に今年度の学会発表で使用したプレゼンテーション資料を掲示しました。今回、その1つの資料は、日本社会薬学会第38年会(令和元年9月15~16日)において「地域薬局における血糖値スパイクのスクリーニング手法の確立による脳心血管病リスク者把握の可能性」という演題で、薬学部4年生の二見健生君が発表したポスターでした。
二見君は、研究会の了解を得て福山大学倫理部会に研究への関与を申請し、承認を受けましたのでデータの解析を行い、その成果を学会発表しました。多くの研究者が二見君の研究発表に関心をもち、質問に来ました。優秀発表賞の獲得は逃しましたが、二見君の学会発表は優秀発表賞候補演題としてノミネートされました。また、キャンパスリポーターの道原あやなさんが二見君の学会発表について記事にした内容が、2019年12月15日の中国新聞の紙面を飾りました。学会発表の様子や取組んだ研究について新聞紙面に掲載されたことは、二見君のモチベーションを高めたようです。このモチベーションは、さらに面白い研究成果につながるのではないかと楽しみにしています。
学長から一言:地域在住の方々も、地域の薬局の方も、学生も、皆が学び皆の健康につなげていく、素晴らしい活動ですねッ!!!関係者のすべての皆さんに感謝!!!