【国際センター】福山大学主催:広島県高校生英語スピーチコンテスト
秋のキリッと澄んだ空気が、スピーチ会場の緊張感を高めます。今年も広島県の高校生が日ごろの英語学習の成果を競う「広島県高校生英語スピーチコンテスト」が開催されました。17年目となるコンテストの様子を国際交流課長の坪根が紹介します。
2019年11月9日(土)の13時から福山大学大講義室において「2019年度第17回広島県高校生英語スピーチコンテスト」が開催されました。
このスピーチコンテストは2003年に始まったもので、広島県の高校に在籍する英語を母国語としない高校生が、5分間の英語スピーチを行い、その出来映えを競います。本コンテストは、広島県教育委員会、福山市教育委員会、ふくやま国際交流協会からご後援を、福山商工会議所、福山松永ライオンズクラブ、松永ロータリークラブからご協賛を頂いております。
今年のテーマは“『Beyond sushi and jeans: Sharing foreign cultural norms』”(参考訳:スシとジーパンを超えて 異文化の慣習を共有する)で、11校から合計17名の高校生に出場いただきました。
開会にあたり、早川達二国際センター長から開会挨拶があり、本コンテストの趣旨の説明とともに、ご来賓の福山松永ライオンズクラブ会長の黒田正伸様、監事の平川治義様(先般の国際交流BBQでも大変お世話になりました)を紹介させていただきました。
ご来賓の黒田様と平川様
続いて、中尾佳行審査委員長(大学教育センター教授)から審査委員の紹介(本記事の最後に氏名・所属を紹介しております)に加え、審査のポイントの説明と高校生たちへの激励がありました。
コンテストの司会を務めるのは、国際経済学科3年の盛影司さんと木村健希さんです。二人はそれぞれブルガリアとベトナムの本学協定大学に長期留学した経験を持ち、そこで磨いた英語を使ってコンテストを進行していきました。
盛影さんと木村さん(指導教員の萩野教授の姿が後ろに)
17名の高校生たちは、それぞれ与えられた5分間の時間を使って、涙あり笑いありの感動的なスピーチを繰り広げました。
審査結果を待つ間は、司会の盛影さんと木村さんから、大学生としての海外留学経験が発表されました。
そして、いよいよ結果発表です。どの生徒さんも素晴らしいスピーチで優劣つけがたいなか、厳正な審査が行われ、今年の結果は次のとおりとなりました。
【大賞】
山陽女学園高等部 3年 髙杉 未来さん「Finding Gratitude in the Small Things 小さな事にも感謝すること」
【準大賞】
広島女学院高等学校 2年 山本 利咲さん「From Hiroshima to Overseas 広島から海外へ」
【優秀賞】
武田高等学校 2年 下野 紗羽さん「Omotenashi Mind おもてなしの心」
【審査員特別賞 2名】
山陽女学園高等部 3年 柴崎 仁美さん「The Circle of Positivity ポジティブな流れ」
比治山女子高等学校 1年 道本 えみりさん「Together We Rise 共に立ち上がろう」
【努力賞 6名】
福山暁の星女子高等学校 1年 内田 遥さん「Common Sense is Not So Common 常識って何?」
尾道高等学校 2年 小川 蓮弥さん「One Team, One World ひとつのチーム,ひとつの世界」
福山市立福山高等学校 2年 亀田 美裕さん「Japanese 〝Mottainai″Spirit 日本のもったいない精神」
武田高等学校 2年 當銘 花奈子さん「What’s the Real Good Custom? 本当のいい習慣とは?」
福山暁の星女子高等学校 2年 松岡 夏鈴さん「OMO-TEA-NASHI」
広島県立尾道東高等学校 1年 山沖 朋栞さん「Be Confident 自信を持て」
受賞された皆さん、おめでとうございました! また、今年度の審査委員をご紹介します。
委員長 中尾 佳行 福山大学大学教育センター教授、広島大学名誉教授
副委員長 今林 修 様 広島大学大学院文学研究科欧米文学語学・言語学講座教授
委 員 小川 久志 様 ふくやま国際交流協会理事
委 員 弘芝 志乃 様 福山商工会議所
委 員 Jason Lowes 福山大学大学教育センター講師
委 員 萩野 覚 福山大学経済学部国際経済学科教授
委 員 Warren Tang 福山大学大学教育センター助教
外部審査委員の先生方におかれましては、ご多忙のところ今年度もありがとうございました。
最後に早川国際センター長からのメッセージと審査委員長の中尾教授からの講評を紹介します。
早川国際センター長
「17名の参加高校生は皆活き活きと発表してくれて、大変刺激を受けました。今年のテーマは深い調査が必要な課題だったこともあり、5分間スピーチのために各自相当な準備と練習を積まれたことが感じられました。福山近辺の高校からも多くの生徒さんが参加して下さいました。男子学生の参加が少なかったので、男子の奮起も今後期待します。参加学生の皆さん、先生方、ご家族、また後援・協賛を頂いた方々に深く感謝申し上げます。」
中尾教授
「この度のスピーチコンテストのテーマは”Beyond sushi and jeans: Sharing foreign cultural norms”。海外の文化をいかに工夫して日本の文化に馴染ませることができるか、また日本の文化の素晴らしさをいかに海外に発信できるか、が問われた。前者では特に高校生のリサーチとその論理の組み立てが強く要求されるだろう。前者ではフィリピンやインドの文化等を通して人と人の関係性の根源に着目し、そのアダプテーションを主張したものがあった。後者では、昨今の社会事象、2020年東京オリンピックの開催、ラグビーへの熱狂さ等が強く影響した故か、トレンド的なトピックが多かった。トレンド的とは言え、高校生は日本の文化を海外の文化を通して再評価したこと、また社会的な通念を認めた上で、自分の経験を織り交ぜ、その価値を広げ、深めたことは、創造性への試みとして褒めたい。
昨年同様レヴェルの高いスピーチコンテストであった。審査には大変苦労した。スピーチのトピックは文化の共有性に鑑み、多岐に渡った。”Finding Gratitude in the Small Things”、”From Hiroshima to Overseas”、”Omotenashi Mind”、”Bayanihan=Better Humanity”、”The Circle of Positivity”等。フィリピンの「バヤニハン」の助け合いの精神、ヒンズー教のカーマ(Karma)及びその関連文化は、広く共有すべきであるという主張。「いただきます」「ごちそうさま」の当たり前の感謝の言葉を海外の経験を通して再評価、地元の日本酒文化の海外への発信(将来のミス西条、Saijo Ambassadorとでも言えましょう)、「おもてなし」(Front + None)は、様々な人にオープンであること、AIにはできない”heart”の籠ったものである、と再意義付け、共有すべきと、等。
7人の審査員は、審査基準に即して厳正に評価し、境界線上のコンテスタントについては、協議して選考した。審査基準としては、例年通りI. スピーチの言語(語彙、文法、音声)、II. パフォーマンス(聴衆とコミュニケーションをとっているか、プレゼンテーションの濃淡・軽重、アイコンタクト、適度なジェスチャーなど)、そしてIII. スピーチコンテストがテーマに即しているか、論理的に展開されているか、を評価。スピーチの技量は、4技能であるスピーキング、リスニング、リーディング、ライティングに加え、5番目の技能「プリゼンテーション力」があって実現する。スピーチコンテストでは自明のことではあるが、このコミュニカティブな総合力、5つの技能を評価しており、ある意味で日本を取り囲む客観状況が本コンテストに近づいてきたとも言える。
審査委員間で出てきた意見を最後に付言しておく。「スピーチの言葉自体は増えているが、強いフレーズが乏しいように思えた」、「トレンディーな内容に傾斜しているが、もっとクリエイティブなトピックを設定できなかったか」、「”What norms”はよいが、もっと”Why”を掘り下げてほしかった」、「もっと海外の文化をリサーチしてほしかった」、「女性の発表者が大半を占めたので、男性の積極的参加を期待したい」、等。
この度のスピーチコンテストのレベの高さは、日頃からご指導されている先生方の志の高さとご努力のお蔭だと思っています。ここに記して感謝いたします。次年度も沢山の発表者を期待しています。また元気にお会いしましょう。」
学長から一言:参加の高校生の皆さん、福山大学の英語スピーチコンテストは、よい刺激になりましたか? これを機会にますます英語力を磨いて、近い将来は、世界に羽ばたいていきましょうねッ!女子高生が男子高生より圧倒的に多かったようですが、同じ女性として、皆さんの将来に、うーんと期待していますよ!!!