大学と企業によるニーズとシーズのマッチングフォーラムを開催!
マッチングフォーラムとは、大学のシーズ(研究)と企業のニーズ(技術開発・商品開発)とが接点を持つ、お見合いのようなものです。公益財団法人ひろしま産業振興機構の研究開発支援センターも、企業が求めるニーズと大学や研究機関が持つ魅力的な技術シーズを結ぶきっかけの場を提供しており、研究現場を訪問し先端の研究内容に触れるとともに、事業化に向けて研究者と意見交換を行います。2016年には福山大学で第1回目としてのマッチングフォーラムが2016年1月22日(金)に開催されています。
そんなマッチングフォーラムがほぼ1年ぶりの3月23日(金)に福山大学で開催されました。学長室ブログメンバーで社会連携センターの中村がその模様を報告します。
当大学からシーズを提供したのは、工学部建築学科の都祭弘幸教授です。今回のマッチングフォーラムでは研究内容を紹介するだけでなく、研究のベースとなる30号館実験場や実大構造物の試験体見学も実施されました。30号館には西日本一という大型構造物実験装置があります。
今回、企業の方々が訪問された研究室の都祭教授は、社会連携センター長でもありますので、地域連携、産学連携、知財、高大連携に関する事業の実施や契約等にも奮闘しています。
マッチングフォーラムの受付は、ひろしま産業振興機構の百々様に行って頂きました。参加者は25名でした。
開会および閉会の司会は、いつもお世話になっているひろしま産業振興機構の神田様が務められました。
神田様のご発声により、まず、ひろしま産業振興機構の渡辺博之常務理事の挨拶がありました。ありがとうございました。
今回の都祭教授のマッチングフォーラムは教室でのセミナー、施設見学、質疑応答という段取りで進めました。
セミナーの題目は「防災・減災への余力技術~南海トラフ地震や地域災害に備える~」です。セミナーの内容は、阪神淡路大震災や東日本大震災の災害状況から始まり、広島・福山地域で予想される揺れや津波の大きさと被害想定について説明があり、防災・減災技術としてどのような技術があるか、またどのように防災・減災を考えるべきかなどでした。
研究の内容を少しご紹介します。
建築などの構造物に入力した地震エネルギーは、構造物に力となって作用し、揺れやひずみエネルギーとなって消費されます。特定の部材にエネルギーを消費させ、構造物本体の損傷を軽減する技術が制震構造です。
都祭教授の本研究は、鉄筋コンクリート造(RC)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)建物の損傷を抑制するためのダンパー材として一般構造用圧延鋼材(SS400)を利用したH形鋼を利用し、安価で多様なデザインにも対応可能な制震部材の開発を目指しています。
都祭教授は、企業の方々に制震部材に限らず「防災・減災技術フォーラム」をつくり、地域の防災・減災について以下のようなことについて共同で検討していくことを提案しました。
・企業が保有する材料や施工技術に関する情報交換
・保有技術の組合せによる新技術開発(多数の会社による共同開発)
セミナーが終わると施設見学です。
都祭教授の研究では、実際の構造物に近い大きさの部材の試験体を用いて耐震性を備えた構造形式や構造部材の研究開発を行っています。
これらの研究を行う実験室は、安全安心防災教育研究センターの構造・材料開発研究部門(30号館)にある大型・中型構造物実験室です。
30号館の鉄筋3階建ての建物内には、中四国で最大規模の耐震研究が行える環境が整備されています。
大型実験室の一角には、大型試験機を用いて実物大の構造物の強度試験を行うためのテストベッドという強固な床があります。このテストベッドは太い鉄筋が張り巡らされ、高強度コンクリートによって約2m打設されて出来ています。広さは15×23mで空間高さは12mあり、その空間に静的ジャッキシステム(10MN:1基、5MN:2基、3MN:2基、1MN:4基など)が設置されています。
一通り施設見学が終わると、もう一度教室に帰っての質疑応答の場となります。質疑応答では活発な意見が出ました。
また、セミナーが終了しても興味をお持ちの参加者との研究開発について引き続き活発な意見交換の場となりました。
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技術ニーズ「種」と市場シーズ「必要性」の戦略的統合の場となるフォーラムは、「ニーズとシーズのマッチングのビジネスモデル」を構築する良い機会であり、このようなフォーラムを開催することによって地域・社会貢献への一助になればと考えています。
福山大学は、5学部14学科の総合大学であると共に、安全安心防災教育研究センターとグリーンサイエンス研究センターの研究センター、さらに内海生物資源研究所が設置されていますので、様々な企業分野の皆様とのマッチングフォーラムを行えると考えております。
また、福山大学のニーズは研究者情報一覧と研究成果発表集に収録しております。教員との技術相談等がございましたら、社会連携センターの中村にご相談ください。
学長から一言:福山大学は備後地域の知の拠点でありたい、あらねばならないと思っています。。。また、人材育成、研究、地域貢献のすべてをできるだけ地域連携の中で行いたいとも思っています。。。産学官連携で地域の活性化を!