文部科学省「私立大学研究ブランディング事業」の年度末学内報告会開催!
「瀬戸内海 しまなみ沿岸生態系に眠る多面的機能の解明と産業支援・教育」という題名の、私立大学研究ブランディング事業の年度末学内報告会が3月14日に行われました。学長室ブログメンバーの仲嶋が報告します。
この事業は、文部科学省の助成事業で、福山大学が独自のブランディング戦略として進める研究プロジェクト「瀬戸内の里山・里海学」の中から、海に関わるテーマに絞り込んで応募、採択されたものです。「瀬戸内海 しまなみ沿岸生態系に眠る多面的機能の解明と産業支援・教育」というタイトルで2017年度から2021年度までの5年間をかけて、しまなみ沿岸域の生態系の解明から、保全、産業利用、教育まで、陸と海のつながりも含めて考え、行動していく壮大なプロジェクトです。
今年度は開始年度なので、今後の全体計画を中心に各研究テーマのリーダー、サブリーダーに講演してもらいました。多くの学生、教員が参加し、盛り上がった講演会となりました。また、講演会の終了後にはお茶とお菓子付きのフリーディスカッションタイムが設けられ、講演者を囲んでアットホームな雰囲気の中で熱心な議論が行われました。
生態系の解明について、サブリーダーを務める生命工学部海洋生物科学科の渡辺伸一准教授が語りました。生態系とは何かについて分かり易い概要から始まり、専門のバイオロギング、DNA配列を高速に解析する、今回の助成にて導入した最新式のシークエンサーを用いた生態系調査に至るまで、全体像が解説されました。(バイオロギングは動物に小さなセンサーを取り付けて、動物目線で生態を観察するユニークな研究手法で、海鳥の一種のオオミズナギドリの調査の様子がナショナルジオグラフィックのホームページで紹介されました。)
生態系の解明について語る渡辺准教授
生物多様性の保全チームのサブリーダーの生命工学部海洋生物科学科の阪本憲司准教授は、陸域(河川)や海の生物の遺伝的繋がりをシークエンサー等を用いて解明し生態系の遺伝的多様性の保全に必要な生物群を特定する試みや、沿岸域の生物のゆりかごである藻場の成り立ちや変化に関する研究について解説しました。森が死ねば海も死ぬ、瀬戸内が豊かな里海であるために陸と海のつながりを解明してゆくという、熱い志も披露されました。
生物多様性について語る阪本准教授
藻場探査チームのサブリーダーの工学部機械工学科の内田博志教授は、自律的に航行しつつ藻場の状態やそこに生息する生物の様子を観察する「自律海中ロボット」の計画と開発状況について講演しました。今流行の空中ドローンと違い、無線電波が水中では伝わらない事や、生い茂る藻をすり抜けて動かなければならないなどの困難なハードルがあり、いかにクリアしていくかが工学部の腕の見せ所です。
自律海洋ロボットについて語る内田教授
最後は産業支援・教育のリーダーである生命工学部海洋生物科学科の有瀧真人教授の講演です。如何に里海から無理なく恵みを頂くか、生態系の知見を活かし人工知能を利用した効率的な養殖システム、沿岸域の微生物や赤潮、ノリの色落ちを防除する殺藻細菌など有用物質の探索、藻場や干潟を利用した実体験型環境学習、沿岸生態系研究の教材化などの教育を多岐にわたる取り組みの概要が説明されました。
産業支援と教育について語る有瀧教授
今後の展開にご期待ください。
プロジェクトについて詳しくはこちらをご覧ください。
学長から一言:私も最初の渡辺准教授の発表をとても興味深く聴きました。。。年度替わりで仕事が山積のため、あとはパス。。。残念!!!そうそう、前座の岩本グリーンサイエンスセンター長の、瀬戸内の研究が国際的にどういう問題・問題解決につながるのかという、視野のひろ~いお話しも面白かったですねッ!