令和と福山 -万葉の歌人、大伴旅人の物語-

令和と福山 -万葉の歌人、大伴旅人の物語-

「福山銘菓 令和物語」の企画についてレポートします。学長室ブログメンバーの大学教育センターの竹盛が、ちょっとこの企画に絡んだので。

5月から、元号が「令和」となります。
4月3日の福山大学入学式にご来賓としておいでいただいた枝広直幹市長が祝辞の中でおっしゃったように、この元号は福山市に縁(ゆかり)があります。それを物語に構成すると、万葉の歌人である大伴旅人(おおともの たびと)の物語となります。

新元号「令和」の出典となったのは『万葉集』です。大宰府にて天平二(730)年、正月(令月)風和(やわ)らぐなか、観梅の宴(うたげ)において、参加者たちがあわせて三十二首、梅の花を歌に詠みました。宴の主人(あるじ)大伴旅人も、「我が園(その)に 梅の花散る ひさかたの 天(あめ)より雪の 流れ来るかも」と詠みました。
宴を開いた年の十二月、奈良の都に帰る時に大伴旅人が鞆の浦で詠んだ三首には、むろの木が歌われています。そのうちの一首が「吾妹子(わぎもこ)が 見し鞆の浦の むろの木は 常世(とこよ)にあれど 見し人そなき」という歌です。今私たちが鞆の浦を訪れ、仙酔島へ渡る船着き場に立って振り返ると、むろの木の傍らに建つこの歌の歌碑が目にとまります。
大伴旅人は、大宰府時代に「酒を讃(ほ)める歌」十三首を詠んでいます。その歌からは、一杯の濁り酒に寄せる、彼の物思いの深さも伝わってきます。

新元号「令和」と福山は、万葉の歌人、大伴旅人によってこのように繋がり、「梅」と「むろの木」と「酒」とのコラボレーションが出来上がることになります。
以前から「むろの木」というお菓子を販売していた市内のお菓子屋さんに、この企画を提案してみました。そうして、「梅」と「むろの木」と「酒」にちなんだ備後福山固有の物語、「福山銘菓 令和物語」のセットが出来上がりました。令和の始まりにあわせ、5月1日発売です。

福山市長の挨拶に触発されて、改めて『万葉集』を読み直し、この企画に陰ながら加われたことは、ひそかなよろこびです。

新しいお饅頭をいただくのを、とても楽しみにしています。

 

学長から一言:令和にまつわる一つの物語が届きましたので、紹介です。美味しそ~う!

この記事をシェアする