【国際経済学科】トップ10・中国研修レポート第一弾!
国際経済学科では、3月14日~31日の予定で、トップ10カリキュラム・中国研修を行っています。引率の萩野覚教授からここまでの研修のレポートが届きましたので、学長室ブログメンバーの私、藤本がご紹介します!
大連(中国・遼寧省)での企業訪問を終え、青島(山東省)に移ってきました。今回は大連での企業訪問の模様を報告します。
大連には、これまで、幾多の日本企業が進出しており、そうした企業と取引を行う中国企業が多くあります。実は、2016年頃から、中国人従業員の人件費上昇が続く中、輸出競争力を維持できないとして撤退する日本企業がみられ始めているのですが、今回訪問した日本企業は、大連に根を下ろして操業を続けています。その動機は、「中国で売る」です。
「ゆかり」で有名な広島県企業、三島食品は、1990年に大連に進出してきました。日本で販売されている「ゆかり」の半分は大連三島食品で生産されているとのことで、日本への輸出も続けていますが、2012年から、中国国内販売が輸出を上回り、主要な販路となっています。中国での主力は、共働きの中国人に人気の「照り焼きソース」等の複合調味料とか。凍結含浸法という方法で野菜に酵素を浸み込ませて柔らかくした、高齢者向け食品も伸びているそうです。一人っ子政策のため、中国でも人口構成の高齢化が急速に進んでいますからね。そうしたことを、我々、殺菌に殺菌を重ね、真っ白で誰だか分からない格好になって工場内に入り、聞いてきました。
広島県人のソウルフード、「おたふくソース」も、中国での販売のため青島で生産しています。こちらは、工場見学後、モデルキッチンで焼きそばやお好み焼きを作って頂き、賞味してみました。「お好み焼き文化を世界に拡げる」とのモットーの下、世界で同じ味にしているとのこと。とても美味しくて、中華料理に疲れてきた私たちには、大変うれしいおもてなしでした。
岡山の三愛クリーニングの子会社、三愛洗衣では、所得水準の上昇を背景に急増する中国クリーニング需要を捉えています。三愛クリーニングの赤木社長によれば、日本では、人口減少に加え、丸洗いできる服が増えたことから、クリーニング需要の増加を見込み難いが、技術水準は最高で、中国ローカル企業の技術水準との間に大きなギャップがあるとのこと。確かに、三愛洗衣のクリーニングの仕方には、匠の技が随所に感じられます。
備後が誇るグローバル企業、リョービは、2005年に大連に進出して来ました。当初、金型工場として創業を開始したものの、欧米自動車メーカーの中国生産拠点からアルミダイカスト製品の供給を要請されたことをきっかけに、業績を順調に伸ばしています。ただ、やはり人件費上昇は悩みの種で、生産の自動化を推進する必要があるとのことでした。同様の話は、長野県から進出して来た、大連湖東精密でも聞きました。もしかすると、日本での製造は高度で、中国での製造は労働集約的、といった構図が、一部では逆転する可能性もあるのではないでしょうか。
思うに、経済のグローバル化というのは、けっして難しい話ではなくて、物にせよサービスにせよ、「売れるところで売る」、ということなのではないでしょうか。ただ、日本と異なる環境で取り組む訳ですから、語学も含め柔軟性が必要で、そこが難しいのかもしれませんね。そうしたことを、参加学生には、多少なりとも気づいてもらえたのではないかと思います。
福山の機械商社、重政商店の重政社長、竹田常務のご案内で、中国ローカル企業も訪問しました。我々の語学力不足から、重政商店の現地スタッフや引率の劉曙麗講師に訳してもらいながらの議論でしたが、中国の経営者の方々が、いかに信頼を大事にしているかが良く分かりました。中国企業については、コピー商品をつくるとか、ネガティブな面が取り上げられることが多いですが、もっと、ポジティブな面が取り上げられても良いのでは、というのが参加学生の感想です。
週末には、重政商店の方々と、旅順の203高地を訪れました。司馬遼太郎「坂の上の雲」で読んだ通り、頂上から旅順港が良く見え、そこから提供した位置情報でロシアの戦艦を一望打尽にすることができたのも頷けます。でも、参加学生が、誰も「坂の上の雲」を読んでいなかったのは、残念ですね。新入生に薦める100冊に入っていなかったかな?という私も、7冊を読み切ったのは数年前です。NHKのドラマも3年かけて放映してました。学生の皆さんには、スマホを暫し脇に置いて読んでもらいたいです!
学長から一言:大変充実したTOP10カリキュラムになっていますねッ!!!萩野教授がこの研修でたくさん学んでいることはよく分かりますが。。。肝心の学生はどうなのかな?!?学生の皆さん、帰ってきたら、学長室にぜひ報告に来てねッ!!!