【ワークライフ支援室】女性が働き続けるためには・・・研修会報告

【ワークライフ支援室】女性が働き続けるためには・・・研修会報告

石﨑由美子先生を講師としてお招きし、12月5日(水)16時30分から薬学部プレナリーセッション室でワークライフ支援室(男女共同参画推進室)研修会を開催しました。石﨑先生は、本年3月まで生命栄養科学科で教授として教鞭をとられていました。ワークライフ支援室室長の薬学部・杉原成美教授からの報告です。

数十年前の日本は、まだ育児や介護に関する制度が十分に整っておらず、出産後女性が働き続けることに対しても理解が低く、子育てをしながら働き続けることを選択した女性は、多くの困難を乗り越える必要がありました。石﨑先生はまさにその時代を過ごされており、働き続けるという選択肢が容易となるように日本社会の環境変化に寄与されてきた世代といえます。現在、様々な制度によって育児や介護に対する支援が提供されおり、また女性が働き続けることへの社会的な認識も大きく変わりました。労働力の確保という超高齢社会の日本が抱える新たな社会問題もあり、むしろ育児や介護を理由に離職する人達を減らすことが課題として認識されるようになりました。わずか数十年の違いですが、協力しあえる職場の仲間や理解のある家族の存在が、子育てをしながら働き続けるための必須条件であった石﨑先生の時代と現在とでは隔世の感があります。日本の女性の就業率はつい最近まで、子育てに係わる年齢層の就業率が、他の年齢層に比べて落ち込みが大きく、М字カーブを描いていました。このМ字カーブは欧米では観察されません。子育てに専念することを希望した選択ではなく、これまで日本では子育ての期間中は仕事を止めざるを得ない状況にあったことを物語っています。しかし、現在でも似たような状況が潜在的に続いていることは、石﨑先生が講演の中で述べられたように、女性の就業率が高い県は、3世代同居率が高い県と重なっていることから推測できます。つまり、家族からの支援無くしては、女性が社会の中で働き続けることは未だ厳しい現状にあることが指摘されます。


石﨑先生ご自身の育児や介護の経験に基づいた講演に心を打たれた参加者は多かったと思います。育児や介護の支援制度が整わない中、石﨑先生の世代の方々が頑張り続けられたことによって社会の認識が変わり、後進に道を切り開くことに繋がりました。この度の講演会で、自分の人生に向き合うことや、自分自身の価値観を押し付けるのではなく各人の選択を尊重することの大切さを石﨑先生からのメッセージとして受け取りました。
数十年前に比べて、社会の認識も変化し、制度も整いましたが、日本のジェンダーギャップ指数が149ヵ国中110位(2018年データ)という現状は、男女共同参画推進やワークライフバランスについて未だ多くの課題が残されていることを意味しています。「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考え方は少なからず支持されています。育児や介護の仕事は女性の役割であるとの認識が未だに根強く社会の中にあることも事実です。イクメンという言葉が誕生しましたが、男性の育児休暇の取得率は低迷しており、男性が育児や家事に割く時間は、欧米に比べてかなり低い現状にあります。さらに、社会のリーダー的存在にある女性の割合は欧米諸国に比べると極めて低く、しかもこの数十年間、ほとんど増加していません。石﨑先生の世代の方々は多くの課題を乗り越えられてきましたが、次の世代にも新たな課題や困難が待ち受けていると思います。次の世代を担う人達は、勇気やしなやかな強さを持ってそれを乗り越えてほしいと願います。ワークライフバランスがとれた男女共同参画がなされた日本社会の実現は、一人一人がそれを現実化して達成されるものと思います。この度の石﨑先生の講演が、将来、講演会に参加した次の世代を担う学生の皆さんの困難を乗り越える力を呼び覚ますものになってほしいと願いました。

以下、講演会に参加した学生さんから寄せられた感想の中から抜粋したものを紹介します。

●まだまだ育児をしながら仕事をする女性に理解の無い時代に、2人の子供を育てあげたのはすごい大変だったのだと感じることができました。子どもの迎えや熱になった時に仕事を切り上げなければいけないのは仕方がないことなのに、「いつまで働く気だ」などと心のない言葉をかけられて私まで辛い気分になりました。

●今回、ワークライフバランスの公演を聞き、今と昔の女性の社会の在り方が違うなとよく感じました。先生のこれまでの経験を語っていただき、今は昔よりもマシにはなってはいるものの、まだ改善の余地があるのではないかと考えました。

●育休やその他の制度を使おうとしましたが使えなかったというお話から、形だけの制度ではだめだと思いました。男女平等に暮らしていくためには女性だけが子育てをするのではなく、仕事も子育ても協力してやり遂げることが重要だと思います。まだまだ社会に対して理解は深まっていないと思いますが、男性が積極的に育児に参加し、育休も活用することで少しずつ変化していくと考えました。

●昔は男の人は仕事、女の人は育児や家事をすることが当たり前で、男の人は亭主関白なイメージでした。女性が働き続けるために社会に訴えかけてくれたおかげで、産休や育児に関する様々な法律ができたことがわかりました。今の時代は、女の人だけが育児や家事をするのではなく、男の人も家庭で手伝う「イクメン」「育児パパ」といった言葉が生まれるくらい時代が変わってきたんだと改めて実感しました。女性が働きやすい環境作りが進んできていて、恵まれた時代になったなと思いました。

●女性が働き続けるためには、周囲の人に理解してもらうことや両親、パートナーの協力が大切だと思いました。家庭(育児)と仕事の両立の難しさを先生の話を聞いて改めて感じました。最後に、先生がおっしゃっていたように、資格はいざというときの切り札になるので、今取れる資格はしっかり取らないといけないと思いました。今回の講演で学んだことをしっかり、将来に役立てていきたいです。

 

学長から一言:石崎先生、良いお話をありがとうございました。。。女子学生にとっては、働くということをあらためて考えさせられる良いチャンスになったようですね。。。男子学生はどのくらい参加していたのか、ちょっと気になるところです。。。

 

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