【メディア・映像学科】音楽フェスに関するゲスト講義を開催!
私が担当する「情報社会とコミュニケーション」という授業の中で「フェスから音楽文化の“今”を考える」と題し、音楽フェスの制作に携わってきた上代朋子さんをお招きしてのゲスト講義を開催しました。(メディア・映像学科 阿部)
本講義では、デジタル・メディア時代のコミュニケーションや創作文化の移り変わりについて学修しています。その中で、音楽文化における創作や流通の形態がどのように変容しつつあるのかについても話をしてきました。CDやレコードを買うという消費の形態だけでなく、オンラインの音楽配信サービスを利用しての受容形態が広がり、ライブや音楽フェスといった生の体験に重点を置かれるようになるなど、音楽文化を楽しむ形が広がってきています。
そこで、国内最大級の音楽フェスである「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」や「COUNTDOWN JAPAN」の制作に関わってこられた上代朋子さんをお招きし、音楽フェスはどのような理想の下に、どのようなことに気をつけながら制作されてきたのか、そして音楽産業において音楽フェスは今どういった位置付けにあるのかについてなどを伺いました。
上代さんのお話によれば、夏の4日間のイベントを作るために1年近くの時間が費やされているとのことです!公式サイトの立ち上げに始まり、200組ものアーティストのラインナップをどうするかを練りに練り、会場やグッズのデザインを並行して進めつつ、チケットの先行受付が始まればそれと連動させて情報を更新していくなどなど、聞くたびに混乱しそうな作業を一つ一つ整理していくことをずっとやられているとのことです。このような大規模なフェスを年間に複数制作されているということで、これがプロのお仕事なのだなと思わずにはいられませんでした。
受講生の中にも音楽フェスの制作の規模に驚く人が多数いたようです。
「自分が楽しむフェスは、会場やステージ、トイレや避雷針の設置など、やることがたくさんあり、フェスが終わったらすぐに次のフェスの準備が始まってほぼほぼ一年かけてフェスの準備をしていた。自分もフェスやイベントの設営に興味があったので、大変さやすべての作業に意味があることを知ることができて良かった。」
「フェスを行うまでの準備や取り掛かりなどにはとても驚いた。その年のフェスが終わったらその次の日から準備を始めたり、アーティストの選び方に工夫をしていたり、なによりもお客さんのテンションをフェス当日まで落とさず保ったままにするための工夫が多くあり、衝撃を受けた。」
他にも音楽フェスは多面的な「場」として捉えることもでき、
- お客さんの「好きな音楽」以外のものに触れてもらう制作者側のプレゼンテーション機会としての「フェス」
- 食やアトラクションといった複合的に体験を提供する場としての「フェス」
- アーティストのプロモーションの場としての「フェス」
などなど、一口に「音楽フェス」と言っても、内実は様々で多くの人たちの思いの交差する場所として捉えることができるようです。
「音楽という参加者も一体となって盛り上がれるシステム、メインステージでは1組のアーティストに対して最大7万人もの人が熱を送ると考えると想像しただけで鳥肌が立った。現代社会の若者は人との関わりを避ける傾向にある。しかし、人と関わりたいという一面も持っている。こういう社会において、フェスというのは1つの空間に共通点を持つ人が大勢集まるわけで、現代社会においてすごく重要な空間になっていくのではないかと思った。」
受講生の指摘のとおり、音楽フェス空間は今の人たちの多層的なコミュニケーションを体現する場所であるなということを強く感じました。また、音楽フェスの話以外にも、最近オススメのアーティストや就職のことについても伺いました。
講義後にも、音楽の話を聞こうと上代さんのもとを訪ねてくる学生は絶えることなく、夕飯の時間もご一緒させていただき、学生や教員ともども音楽業界への夢を膨らませる本当に楽しい1日となりました。上代さん、ワクワクするお話をどうもありがとうございました!!!
学長から一言:上代朋子さま、実践に基づいた素晴らしい講義をありがとうございました!学生はたくさんの刺激を受けたようですが、何よりもプロの厳しさを感じたことが大きかったようです。。。これからは、音楽フェスに参加しても、構えが変わってきますねッ!