大学院修士2年の是枝亜実さんの論文がアクセプトされました!!
大学院工学研究科生命工学専攻修士2年の是枝亜実さんが広岡和丈教授の指導のもとで行った研究内容が論文となり、日本農芸化学会の英文学術雑誌であるBioscience, Biotechnology, and Biochemistryに掲載されることが決まりました。論文のタイトルは「Protein expression systems combining a flavonoid-inducible promoter and T7 RNA polymerase in Bacillus subtilis」です。この研究には、修士2年の桑原佑奈さんと、昨年度生物工学科を卒業した田口梨愛さんと宮本佳音さんも貢献しており、共著者となっています。
この論文では、枯草菌がもつフラボノイドで活性化する遺伝子の調節に関わる領域と、T7ファージという細菌に感染するウィルス由来のRNA合成酵素の遺伝子を組み合わせることで、フラボノイドを加えると枯草菌の中で目的のタンパク質を効率的に生産する仕組み(フラボノイド誘導型T7発現系)を開発したことを報告しています。
枯草菌は哺乳類に対して病原性がなく、加えるフラボノイドも哺乳類への毒性が低いので、この仕組みを使うことで、酵素などの有用なタンパク質を有害物質フリーで獲得することが容易となると期待されます。また、目的タンパク質生産のオンオフを厳密に調節できるようになっており、目的タンパク質が枯草菌の増殖に悪影響を及ぼす場合に役立つと思われます。使用できるフラボノイドの1つであるケルセチンが安価なこともこの仕組みの産業利用の可能性を高めています。
フラボノイド誘導型制御領域 (1a) またはその改良型 (1b) とT7 RNAポリメラーゼ遺伝子との連結を枯草菌染色体に組み込んだ。さらに、発現させる目的遺伝子として、改変型緑色蛍光タンパク質 (EGFP) の遺伝子をT7プロモーター制御下になるようにプラスミドに組み込み、それを枯草菌宿主に導入した。これによって、2種類のフラボノイド誘導型T7発現系を作製した。右下のパネルは、SDS-PAGEで各発現系でフラボノイド (フィセチンまたはケルセチン) によってEGFP生産が誘導されるかを確かめた結果である。