【海洋生物科学科】ハンドウイルカの社会行動に関する論文を発表
ヒトを含め様々な動物が周りの個体と仲良くするための行動(親和行動)を行います。そしてケンカをした後に親和行動をすることで、仲直りをしたり宥めたりすることが知られています。
ハンドウイルカも、胸びれで相手を擦る行動(ラビング)、胸びれで相手を触りながら泳ぐ行動(コンタクトスイミング)、近い距離を保ちながら一緒に泳ぐ行動(同調遊泳)といった親和行動を行います。また、本種もケンカの後に親和行動を行うことで興奮を抑えていることがわかっていましたが、親和行動をどのように使い分けているかは不明でした。
海洋生物科学科の山本講師は、かごしま水族館(鹿児島県鹿児島市)の柏木氏と共同で、ハンドウイルカがケンカの後にどのような親和行動を行うか明らかにしました。その結果、同調遊泳が最もよく起こることがわかりました。また同調遊泳やコンタクトスイミングがケンカの後にすぐ起こる一方で、ラビングは発生までの時間が他より遅いことが示されました。
本研究から、ハンドウイルカは複数の親和行動タイプを持ちますが、その役割には違いもあることが示唆されました。これは本種がどのように仲間と友好的な関係を築き維持しているのかを明らかにする上で、重要な知見となります。
これらの知見をまとめて、論文を発表しました。
論文:Yamamoto, C. and Kashiwagi, N., 2023. Affiliative behavior after aggressions in common bottlenose dolphins (Tursiops truncatus). Aquatic Mammals, 49(3): 288-293.