情報工学科
今井 勝喜(いまい かつのぶ)
職 名 | 准教授 |
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学 位 | 博士 (工学) |
専門分野 | 自然計算 |
担当科目 | データ構造とアルゴリズム、離散数学、応用数学、計算工学応用特論 |
メッセージ | 生物の形成するパターンや結晶の成長形などの自然現象を計算という観点から理解を試みる自然計算という分野で、自然計算のための計算モデルについて研究しています。わたしたちの思考や作業の過程も自然計算の計算過程と見なせるでしょう。認知能力変動に応じた作業支援を自然計算の立場で実現することを目指しています。 |
交通流セル・オートマトンの計算複雑さ
セル・オートマトン (CA) は一種の並列計算モデルですが、自然現象のモデル化によく利用されています。ルール184 CAと呼ばれる交通流の単純なモデルがあります。それぞれの車が前後の車の有無を把握することで速度を保ったり落としたりする状況をモデル化することができ、渋滞の起きる車の密度の解析などに用いられています。われわれは把握できる前後の範囲を大きくとることができれば、たった5台の車が存在するだけで、車の挙動が決定不能 (チューリング完全と呼ばれるいかなる計算過程も模倣できる) になる場合があることを示しました。
交通流セル・オートマトン
タイリングコロナの可視化とその性質の研究
結晶の成長は分子レベルで起きるミクロな現象にもかかわらず、図 (左) の黄鉄鉱結晶のように非常に整った形として成長します。またその成長形は環境によって複数の形を取り得ますが、単位格子と呼ばれる周期的なタイリング上に規則正しく成長します。われわれは、とてもシンプルな結晶成長モデルとしてタイリング上のコロナ極限と呼ばれるモデル (図 (右)) の性質を調べています。実際の三次元のタイリング構造の理解のために、VR/ARヘッドマウントディスプレイを用いて3次元のタイリングやそのコロナの可視化を試みています。
結晶の成長形とコロナ極限
ARヘッドマウントディスプレイ (HMD) によるプレゼンテーション支援
新型コロナ流行以降、プレゼンテーションはオンラインで実施されるようになりましたが、流行が収まった後も、もとの対面形式に戻すのではなく、聴き手が対面でもオンラインでも自由に選択できるハイフレックスと呼ばれる形式が奨励されるようになりました。しかし、眼前の聴衆に意識を向けつつ、ビデオ会議アプリを介したオンライン視聴者、さらにプレゼンアプリやビデオ会議アプリの操作を同時に行うのは困難です。AR HMDを用いて、対面視聴者の近くで質疑応答に対応しつつもオンライン視聴者やアプリの状態を把握しつつプレゼンできるツールのプロトタイプを開発しました。
AR HMDによるプレゼン支援