【生物工学科】ラオスの風はラオスに吹く④ 番外編
楽しく学びの深かったラオス海外研修の報告もこれで最後とします。生物工学科のラオス海外研修では、世界的なラム酒メーカーであるLAODIでのサトウキビの刈り取りからラム酒製造過程の学習、ラオス国立大学やスファヌボン大学、そしてJICAとの交流、そしてラオスの小学生との交流という3つの大きな研修目的がありました。今回のブログでは、旅の途中で体験した自然や街や食事の様子などをお伝えします。現地でしか感じることのできないラオスの風を感じてきました。生物工学科の佐藤が報告します。
食事
まずは食事です。ラオスと言えばカオニャオです。籠に入ったもち米を手で取って丸めて食べます。辛いおかずと一緒に食べると、とってもおいしいです。ラオス料理については学生にとって辛い食べ物とパクチーが乗り越えるのが難しい壁だったようですが、これも経験ですね。日本でもたまに食べることがあるココナッツミルクの入った辛いタイ風の味付けもあり、おいしかったです。
ビエンチャンの郊外に行くと、下の写真のように舗装がされていない道路がたくさんあります。その道中で新しくできたカフェがあったので、そこで休憩しました。モダンなカフェで、とてもそんなガタガタ道の途中にあるとは思えず、まるでオアシスのようでした。ラオスは経済的に発展しつつあり、3年前にはなかったコンビニエンスストアができているなど、街の様子もどんどん変わっていると感じます。世界中で同じようなものが使われることでどんどん便利になり、海外での生活や旅行の壁は低くなってきています。しかし一方で、伝統的な文化が失われる傾向にもあります。何が正しいあり方なのか常に考えていくべきなのでしょうね。それにしてもおいしいコーヒーでした。
LAODIでの研修中に宿泊した施設は家族で経営しており、お母さんが、毎日、フランスパンに卵やお肉を挟めたもの、そしてココナッツの入った少し甘めのチマキなどを朝ごはんとして作ってくれました。ラオスにはかつての植民地時代の宗主国であるフランスの文化の影響が見られ、フランスパンにコーヒーといった西洋の食事も融合しているので面白いです。LAODIでの作業の力の源はこれらの朝ごはんでした。みんな朝ごはんしっかり派。
ビエンチャンの街中では朝早くから夜遅くまでラーメン屋が開いているので、朝昼晩いつでも食べることができます。味はあっさりしていて、日本人好みの味です。下の写真は初日の様子で、ビエンチャンのホテルに到着後すぐ21時過ぎ(日本の23時過ぎ)に食べに行ったラーメン店です。空港ではなんと全員分のキャリーケースが届かず(下記)、その手続きで疲れ果てました。最初の食事は旅の疲れた体に元気を与えてくれました。
メコン川と近くのお寺
次にメコン川とお寺の訪問の様子をお伝えします。メコン川は東南アジアを代表する大河川で、その源はチベット高原にあります。メコン川の向こうはタイ。ラオスの南部では、メコン川はタイとの国境となっています。この時期、流れは緩やかで優雅に流れていました。海のないラオスでは、メコン川は大きな水源です。近くには農家も多く、ラオスの食を支えています。日本の川とは雰囲気の違った雄大な川の流れの前で記念撮影しました。
さてメコン川の近くにお寺があったので、訪問しました。幸せを呼ぶドラムがあったため、「幸せになりたい!」と、みな力いっぱいドラムをたたいて鳴らしたところ、ドラムのバチが折れてしまいました。正直にお寺の住職に謝りに申し出たところ、怒られることもなく、一人一人の幸せを願うミサンガを手首に括りつけてくれました。住職には感謝以外にありません。お寺では皆で日本に無事に帰ることができるように祈りました。それにしてもどれだけ幸せになりたいのだろうか。。。
メコン川とお寺を訪問した後、小さな町を通り過ぎる際に、道路で当然のごとく歩いている牛に遭遇しました。日本では見ることのないラオスの原風景ですね。
ルアンパバーン
それではここから二つの街の様子をお伝えします。まずはルアンパバーンです。とっても素敵な街でした。ルアンパバーンは街全体がユネスコが指定した世界遺産です。観光地ということもあり、世界各国から多くの観光客が来ていました。それでも混雑した様子はなく、観光客の皆さんは、ゆっくりとした時間の中で街を楽しんでいる様子でした。ルアンパバーンにはメコン川とナムカン川という2つの大きな川の合流地点があります。その川の見えるレストランで昼食をとりました。近くでは岩の上から川に飛び込む子供たちがおり、とっても楽しそうでした。日本なら「危ないからやめなさい!」と親の声が聞こえてきそうです。
ルアンパバーンを散策する途中、何度か同じコーヒー店で休憩しました。日本人夫婦が経営するお店で、オーナーはコーヒー農園のコンサルタントもされていることもあり、選ばれた豆を丁寧に挽いて作ったおいしいコーヒーでした。17名で訪問しましたが、朝からたくさんのコーヒーを作っていただきありがとうございました。
2日目にはルアンパバーンを一望できるプーシー山に登りました。300段弱の階段を頂上まで登ってみると、素晴らしい景色が待っていました。ルアンパバーンは自然と伝統とおしゃれなお店が共存した素敵な街でした。いつかまた来たいです。
ビエンチャン
ここまで読んでいただきありがとうございました。最後に、首都であるビエンチャンでの様子を少しだけお伝えします。上で書きましたように、初日にビエンチャン ワッタイ国際空港に到着した際に、15名全員分のキャリーケースが届きませんでした。トランジットで、キャリーケースの移動がうまくいかなかったようです。これも旅の経験です。むしろ、キャリーケースが届かなかった時の悲しみと、届いた時の嬉しさを共有したことでメンバーの絆が深まったと感じます。マイナスがあるからプラスを感じることができるのです。まるで人生です。とにかくそんな状況でも学生は終始元気な様子であったので救われました。そういう事態となったため、初日に予定していたビエンチャン市街をめぐることはできませんでしたが、最後の日に学生たちは個々に名所を訪問したようです。よかったよかった。下の写真は1日遅れで届いたキャリーケース。
ラオスを発つ最後の日に、学生たちはビエンチャンの名所のタートルアン(金の仏塔)やパトゥーサイ(凱旋門)、そしてベトナム戦争で手足を失った方に義足などの支援をする非営利団体Cope Visitor Centreなどを訪問しました。12月は乾季に当たり、天気が良い日が多く、この日も気持ちの良い青空でした。
最後にはラオスの伝統的な移動手段であるトゥクトゥクも体験しました。3年前の研修と同様にみんなでトゥクトゥクに乗ってワッタイ国際空港まで行きました。さすがに私たちを除いてトゥクトゥクで空港まで来ている方はおりませんでした。最後の最後までラオスを堪能した旅となりました。
ラオス海外研修は長く短い旅でした。学生たちも教員も多くのことを学んで帰ってきました。これだけ充実した海外研修もなかなかありません。3年前の研修に参加した学生のうち4名はリピーターでした。次の研修でも、今回のメンバーからまた参加したいという学生が出てくるのでしょう。ラオス海外研修に参加した学生はそれだけ何かをつかんで帰ってきています。その何かはいつ花開くかはわかりませんが、その何かは形を変えながらもきっと消えることのないものであるはずです。異なる環境に身を置くと自分の中の見知らぬ自分と出会えることがあります。そうした出会いは自分の幅が広がることに他なりません。小さな世界に閉じこもるのは簡単です。しかし、たとえ不安があるとしても、小さな世界を一歩飛び出し、自分を外から眺めてみると、意外な自分が見えてくるかもしれません。学生の皆さんは今回の旅で何を得たでしょうか?
生物工学科ラオス海外研修についてのブログはこれで4つ目です。LAODIでの研修を記したブログ①はこちらからご覧ください。おもに研究交流を記したブログ②はこちらからご覧ください。小学生との交流を記したブログ③はこちらからご覧ください。まだまだ伝えきれないほど多くのことを学んできましたが、ブログでの報告はこれで最後にします。ご覧いただいた皆様、ありがとうございました。後は生物工学科に入学して、実際に体験してみましょう。
学長から一言:生物工学科のラオス研修レポートの第四弾は最終回で、現地での生活と観光(失礼!文化研修)の様子が盛り沢山。最近ではテレビ番組などを通じてでも、ラオスを含む海外のことを見聞きする機会があります。しかし、実際に足で歩き、五感を通して感じたことは深みが違います。何かの拍子に、街の様子や人の表情などとともに、ふと思い出すものです。それがとくに海外での研修の醍醐味です。生物工学科を進学先に検討中の皆さんも含めて、多くの人に味わってもらいたいですね。