【人間文化学科】「人間文化」を学ぶとは?―授業紹介
「福山大学の人間文化学科とは何を学ぶところなのか?」という質問を受けることがあります(本学科の学生も、就職活動での面接で質問されることがあるそうです)。「本を読む」というイメージが強いと思いますが、それだけではありません。そこで今回は、具体的な事例を2つ交えながら「人間文化学科の学び」について、学長室ブログメンバーの清水がお伝えします。
1、オープンキャンパスの「模擬講義」
人間文化学科での学びを体験できる機会が模擬講義です。ここでは、今年度の夏に実施された2つの模擬授業について紹介します。
体験入学会:8月21日(日)
村上亮准教授「大学における歴史学の学び―ナチを題材として―」
ドイツのヒトラー政権の姿へ限りなく迫る試みです。 ナチを取り扱った書籍や映像は日本にも数多くあります。特に、私たちはナチの映像に触れる際に、それを「実際にあった事実」として認識しがちです。すなわち、その映像の作り手であるナチ政権の意図を考えることをせずに、そのまま受け入れてしまっていないでしょうか。例えば、ナチが自らの成果として大々的に宣伝した失業問題の解決も、統計資料を検討してみるとイメージが先行した「神話」である事実が浮き彫りになります。この一例は教科書に書かれている内容にも疑問をもつことの大切さ、わかりやすさの中に隠された「嘘」が見えてくることの面白さを示してくれています。
キャンパス見学会:9月10日(土)
青木美保教授:「「穴の海」伝説から見る古代の備後―井伏鱒二の郷土観から―」
こうした模擬授業からは、人間文化の学びが、文献や史料、フィールドワークを通じて対象テーマの深層へと向かい、「「調べ」「考え」「議論する」」ものであることを体感できます。
2、「教養ゼミ」
「建築で見る日本古代史―日本建築の源流を追って」(日本古代史)
「昔の「普通」を考える」(日本文化史)
「言葉をつなげる、言葉でつながる」(日本語学)
「韻数文解」(アメリカ文学)
「記憶の文化」(ヨーロッパ思想)
「祈りの行動学」(中国思想・文化)
人間文化学科の学生たちは、こうした学びを4年間積み重ねながら自分の道を模索し、就職や進学という“未来”に繋げていきます。自身の興味関心を通じて、言語や資料、そして言葉を駆使しながら”新しい自分”を創造する力を磨く。これは「人間文化」創造の歴史とも重なるのではないでしょうか。
次回の記事では、こうした学びを積み上げてきた4年生の就職活動(就職体験発表会)についてレポートします。ご期待ください。
学長から一言:オープンキャンパスでの「模擬授業」を通じて、人間文化学科における日々の教育活動の一端が、参加高校生など聴講者に伝わったことでしょう。また、入学後に学ぶ「教養ゼミ」の内容を含めて、人や社会の有り様にさまざまな観点から深く切り込んでいくこの学問分野の魅力を、もっともっと多くの若者に感じて欲しいものです。