【スマートシステム学科】留学生とスマートシステム実習

【スマートシステム学科】留学生とスマートシステム実習

この夏、SAKURAサイエンスプランでベトナムから国立ハノイ土木大学の皆様が福山大学にやってきました。前回の記事に引き続き、今回は、8月28日(火)と30日(木)の2日間を使って開催されたスマートシティ構築のためのインタラクティブな体験型学習(ハンズオンセミナー;HandsOnSeminar)の報告が、担当の関田准教授より届いています。工学部スマートシステム学科(フェイスブックはこちら)の伍賀が紹介します。このハンズオンセミナーは、スマートシステム学科の香川教授、仲嶋教授、田中准教授、関田准教授、沖准教授、そして私が参加し、スマートシステム学科の学生の皆さんにも協力していただき、実施ができました。

 


スマートシステム学科の関田です。さくらサイエンスプランは、アジアの青少年に日本の最先端科学技術への関心を高めてもらい、日本で必要とする海外の人材育成を進め、アジア地域の科学技術発展に貢献する(独)科学技術振興機構による国際交流事業です。
今年は、スマートシステム学科で福山市とのスマートシティに向けた協働活動の一環でIoT(Internet of Thing)活用を体験するHands On Seminarをベトナムのハノイ土木大学の4年生10名を招いて2日間実施しました。

今回の実習テーマは、スマートシティを構築するためのIoT技術の活用です。IoTとは、すべてのモノがインターネットに接続されるという意味であり、快適な社会を実現するための活用が重要です。近い将来、スマートシティ社会を構築するために解決すべき問題点を議論し、それを解決するためのセンサ技術を福山大学の環境を利用して試験し、IoT活用を体験し学習しようということを試みました。

福山大学の様々な施設や地形などを実験フィールドとして利用します。

スマートテクノロジーで実現されるスマートシティは、技術によって安全、健康、教育、交通、エネルギーなどの問題を効率よく運用するようにインフラが整備されています。これを実現するためにはどうすればよいのでしょう?

今回の体験学習に用いられる実験装置は、フィジカルコンピューティングで広く利用されるArduinoマイコン、様々な環境情報が取得できるセンサデバイス、そして取得されたデータを遠く離れたコンピュータに送信できるアンテナTWELITEデバイスで構成されています。

 

■8月28日(火)Hands On Seminar(要求検討、実験機設計・製作)

ハノイ土木大学からの学生10人とスマートシステム学科の学生の混成チームを5チーム作りました。1チームは3人で、まずこれからのスマートシティに必要な技術、解決すべき問題などを話し合いました。コミュニケーションは英語で行われます。ホワイトボードを活用し、イラストや身振り手振りなどもしながら学生の皆さんはお互いコミュニケーションをとるのに、なかなか四苦八苦している様子でした。

イントロダクション、今回のミッションの概略を説明しました。

ハノイ土木大学4年生の2名と当学科の院生または4年生1名で1グループ

ハノイのスマートシティ化の課題とそれを解決するIoTミッションを英語で討議

昼食です。本学のカフェテリア「どん亭彩雲」での食事は、とても好評でした。

午後は、引率のTuan講師の研究説明を聴き、IoTミッション実験機器を設計・製作しました。

各チームとも何とかコミュニケ―ションをとり、お互いのアイデアも話し合えるようになってきたようです。

1日目の最後に、ミッション設定審査会を行いました。

 

1日目は、ハノイのスマートシティ化に必要な課題とそれをIoTで解決する方法をシステム工学のV字モデルに従ってグループで討議し、その一部を検証するためのセンサを使った実験機を設計・製作しました。ハノイの住民は何を求めているか、その検証実験はどうするかといった慣れない技術検討を短い時間の中で、ワイワイ楽しそうに実行してくれました。さすがにエンジニアの卵たちです。目を輝かせていたのが印象的でした。

 

■8月30日(水)Hands On Seminar(ネットワーク接続、データ取得、解析)
2日目は、1日目に作った実験機が無線でIoTサーバに接続できることを確認し、実際に外で実験を行い、収集したデータを解析してミッション達成審査会まで行いました。

2日目は、情報工学科の山之上教授によるIoTデータサーバの特別講義から開始です。

デバイスからのセンシング情報をPCに送信できているかどうかをテストしています。

IoTサーバとの接続確認、さらにセンサ機器とDriverユニットのインタフェース確認

各チームが様々なミッションを提案しました。このチームは、車両や駐車場に関するスマート技術がターゲットで、学科の自動走行車イスを利用し実験します。

こちらのチームはインフラ老朽化対策がテーマです。橋の振動をモニタリングするため、学内のロダン橋の上でジャンプして揺らします。

先程のチームは学内の駐車場で実験し、データは無線でIoTサーバへ飛ばしています。

IoTサーバからデータをダウンロードして解析。

実習の締めくくりとして、各チームでミッション達成審査会を行いました。

 

あるチームで、センサ実験機器がIoTサーバと接続できず、当学科の教員も交えて悩み抜いた末に単純な設定ミスと判明したり、IoTサーバからのデータをグラフにするのに手間取ったり、いろいろとありましたが、5チームすべてミッション達成審査会を終えました。ハノイ土木大学の学生も本学の学生も慣れない英語での技術討議や資料作成にめげず、2日間やりきった経験はエンジニアとしての基礎を築く一部になったでしょう。終了後は、ほとんどの学生が「2日間は短かった。もっとじっくりと時間をかけて取り組みたかった。」との感想を残してくれたことが、今回のHands On Seminarが大成功だったことを物語っています。

 

学長から一言:ハノイ土木大学の学生さんも本学の学生さんも大変な2日間の学びだったようですが、学内の様々なところも利用して、面白く興味深い学びになりましたねッ!これをきっかけにして、もっと広くもっと深い学びへ!!!教員の皆さん、お疲れさま!

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