【大学】オムニバス授業「瀬戸内の里山・里海学」を開講中!

【大学】オムニバス授業「瀬戸内の里山・里海学」を開講中!

全学を挙げて取り組む福大ブランドの研究プロジェクト「瀬戸内の里山・里海学」に携わる研究者たちが、今年度からオムニバス形式で講義を行う授業、その名も「瀬戸内の里山・里海学」(一般教養科目)を開講しています。この授業は、プロジェクトの研究成果を解説することを通じて、本学の学生が地元地域に関わる幅広い知識を身につけることを促すのが目的です。今年度は後期授業としてオンデマンド形式の遠隔授業を行っており、160人を超える学生がこの授業を受けています。これまでに行われた12回の授業の内容について、学長室ブログメンバーの内田が紹介します。

以下、各画像の右の文章の1行目は、授業回、担当教員の所属学科、担当教員、授業のタイトルです。

 

第1回:スマートシステム学科 仲嶋 一 教授 「イントロダクション」

授業の前半で「瀬戸内の里山・里海学」の全体像について述べ、後半では工学部の5つの研究テーマ「藻場環境計測システム」、「藻場観測用ROV」、「自律海中ロボット」、「衛星画像による藻場領域計測」、「AI給餌システム」の概要を説明しました。

 

第2回:生物工学科 佐藤 淳 教授 「瀬戸内の里山生態系と動物」

生物多様性の重要性について説明した後、福山大学のキャンパス内で夜間撮影されたいろいろな野生動物の動画を紹介しました。授業の後半では、野ネズミなどの糞のDNA分析により里山の生態系を解明する研究の成果について述べました。

 

第3回:海洋生物科学科 山岸幸正 准教授 「瀬戸内の里海生態系と藻類」

授業の前半では、水深や潮流から見た瀬戸内海の特徴と海藻の種類について述べ、減少しつつある藻場(稚魚が成長する場として重要)の現状を説明しました。後半では、瀬戸内海の海藻の分布状態についての研究成果を紹介しました。

 

第4回:生物工学科 山本 覚 教授 「瀬戸内の里山と農業」

授業の前半では、里地里山が荒廃しつつある現状について述べた後、福山市の農業関係の特産品を説明しました。後半では、福山大学ワインプロジェクト、福山バラの酵母プロジェクト(バラの酵母によるパン作り)の研究成果を紹介しました。

 

第5回:海洋生物科学科 有瀧真人 教授 「低迷する瀬戸内海の漁業の現状とシロギス養殖など振興策」

瀬戸内海の漁業が低迷している現状を述べた後、福山大学が地域企業と共同で取り組んでいるシロギス養殖研究について説明しました。大型のシロギスである「テッポウギス」をネタにした寿司や会席料理の商品化についても述べました。

 

第6回:生命栄養科学科 石井香代子 教授 「瀬戸内の食文化」

日本の食文化を、歴史的な移り変わりや年中行事との関連などの観点から説明した後、広島県東部の食文化に関する研究成果として、福山・尾道・三原などの地域や沿岸部・山間部の家庭料理の違い、残していきたい郷土料理について述べました。

 

第7回:経済学科 中村和裕 講師 「備後地域のスポーツ経済について」

我が国のスポーツ産業の変遷を、プロ野球とプロサッカーの構造の違いの観点を交えて説明した後、備後地域のスポーツ資源と、その公共財としての役割について述べました。福山市で活躍するスポーツチームを、地域ごとに紹介しました。

 

第8回:人間文化学科 清水洋子 准教授 「福山ゆかりの漢詩人菅茶山と、その私塾である廉塾」

福山ゆかりの漢詩人として知られる菅茶山(かんちゃざん)と、その私塾である廉塾(れんじゅく)について解説しました。茶山の生涯と思想、廉塾での教育内容などについて述べた後、写真を交えて廉塾の現状(保存状態)を紹介しました。

 

第9回:メディア・映像学科 中嶋健明 教授 「鞆の浦学」

鞆の浦の貴重な歴史的建築物を紹介し、それらが老朽化により失われつつある現状を述べた後、3DCGによる鞆の浦の街並みの再現、地域イベントにおける歴史的建築物の活用と地域住民との交流など、様々な研究活動の成果を紹介しました。

 

第10回 :建築学科 佐藤圭一 教授 「瀬戸内の地域遺産」

地域遺産と世界遺産について概論した後、瀬戸内の地域遺産各論として、明王院や別所砂留の保全、備後独自の畳表である中継表の織機復元、鞆や島嶼部の古民家再生、地域の神社の能舞台の復元など、幅広い研究活動の成果を紹介しました。

 

第11回:大学教育センター 津田将行 講師 「川の環境と防災」

中国地方の地形と気候、芦田川の河川環境について概論した後、芦田川研究の成果として、UAV(ドローン)による写真測量結果から洪水による河床変動を予測したこと、環境DNA分析により芦田川の魚類相を把握したことを述べました。

 

第12回:機械システム工学科 内田博志 教授 「里海のテクノロジー」

水中ロボットとは何かという話から始めて、瀬戸内海で活躍する水中ロボットの役割と技術課題について説明しました。そして、福山大学における水中ロボットシステムの研究状況、気球観測による藻場探索研究の結果などを紹介しました。

 

残り3回の授業では、以下の講義が行われる予定です。

第13回:情報工学科 山之上 卓 教授 「里山・里海におけるIoT利用」

第14回:薬学科 猿橋裕子 准教授 「人生100年時代に備えた健康 瀬戸内の立地を生かして①」

第15回:薬学科 猿橋裕子 准教授 「人生100年時代に備えた健康 瀬戸内の立地を生かして②」

 

以上のように、この授業は、総合大学である福山大学の各学科の教員が「瀬戸内の里山・里海」を様々な角度から解説する、興味深い内容のものとなっています。この授業を受けた学生の皆さんが、地域社会と国際社会の発展に貢献する「未来創造人」として成長することを期待しています。

 

 

学長から一言:教養教育科目の中のF群として、本学の特色である「地域学」教育の一環で今年度から開講された「瀬戸内の里山・里海学」。福大ブランドの共同研究に携わる各分野の教員がそれぞれの得意分野を披露する試みであり、皆さん相当に力が入っているようです。受講する学生諸君の「地域愛」をかき立てることができるか。すべてのテーマに関してでなくても、きっと自分の興味・関心にピタッと来る内容があることでしょう。

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