【#心理学科】捜査心理学にて山口県長府警察署による特別講義(第2弾)!
山口県長府警察署の鑑識係に勤める心理学科の卒業生をお招きし、オンラインによる「捜査心理学」の特別講義(第2弾)が行われました。報告が遅くなってしまいましたが、魅力たっぷりの特別講義の様子について、学長室ブログメンバー兼捜査心理学講義担当の大杉がお届けします。
捜査心理学講義は、犯罪捜査に活かされる様々な心理学的手法について正しく理解し、さらにワークで実際に体験することで、それらを深く、じっくり学ぶことができる授業です。毎年、現役警察官の方を講師としてお招きし、特別講義が行われるのも魅力の1つです(今年度の特別講義第1弾はこちら→【心理学科】「捜査心理学」で福山西警察署刑事課長による特別講義(第1弾)!)。
特別講義の第2弾は、7月16日(金)にオンライン形式で行われました。
福山大学人間文化学部心理学科には、卒業後に警察官として働いている先輩がたくさんいます。今回は、その1人である原田知樹さん(犯罪心理学研究室出身・平成26年卒業)に声がけしたところ、原田さんが勤務されている山口県長府警察署警務課の山下純治係長と若手警察官の2人にも対応いただけることとなり、オンラインならではの特別講義が実現しました。
はじめに、警務課の山下係長から、主に警察官の仕事について話していただきました(次の写真)。各部署の仕事内容から仕事と家庭の両立の話まで丁寧に説明していただき、皆さん真剣に聞き入りました。ワークライフバランスが警察においても重視されているという話には、イメージと違って驚いたという人が多数いました。
続いて、刑事課鑑識係の原田さんから、犯罪捜査における鑑識活動の役割について話がありました(次の写真)。捜査支援の要である鑑識業務について、経験を交えながらの話は説得力抜群で、多くの受講生の印象に強く残ったようです。
指紋や足痕跡の話は、実際に靴の裏を見せていただきながらの解説でした。また、受講生からの要望で自宅でできる指紋検出法も教えてくださり、皆さん鑑識気分が味わえる!と興味津々でした。
その後、若手警察官2人による質疑応答の時間がありました。若手警察官の方々にお聞きしたいことについては、事前に受講生から100近い質問(!)が挙がっており、警察官になったきっかけや実際になってみて思っていたことと違ったこと、憧れの警察官の存在から給与の使い道や休日の過ごし方に至るまで、真摯に答えていただきました。年の近い警察官の方からの回答は、受講生である大学3・4年生には非常に身近な話題であり、自分の将来を見つめる良い機会でもあったようです。
最後に、パソコン画面上での集合写真を撮影しました。100人ほどの参加者全員は写っていませんが、原田さんの指導教員だった平伸二教授と皿谷陽子助手も一緒に写ってくれています。
オンデマンドでもオンラインでも受講者の顔を見る機会はなかなかありませんが、顔が見られるとやはり嬉しいものです。特別講師の皆さんも最後にたくさんの受講生の顔が見え、喜んでくださいました!
最後に、学生からの感想を一部紹介しておきます。
- 警察の業務は厳しく大変なイメージがあったのですが、仕事と家庭の両立ができる仕組みが整っていることが分かりました。休暇の体制や福利厚生面のことはあまり知らなかったのですが、充実した仕組みがあり、働きやすい状況が作られていると感じました。
- 最初に見せていただいたビデオに惹き込まれました。実際の警察にドラマのようなことは少ないと聞きましたが、ビデオを見て仕事の至る所にドラマがあるなと感じ、かっこいいなと思いました。
- 授業で聞く内容が実際に現場で活用されているという話を聞いて、より学ぶことの意義や知識を深める大切さを確認することができました。
- 原田さんの「現場は舐めるように見ている」という言葉が印象に残っています。事故現場や事件現場は、些細なことでも見逃してはいけないというイメージは元々ありましたが、「舐めるように」という表現が私たちが思っている以上に細かいことも見つけているのだと思うと、改めて大変なことだと思いました。
- 原田さんは親しみやすく、現役の鑑識係に自分の大学を卒業している方がいることを誇らしく感じました。最近はコロナの影響でマスクをほとんどの人が着用しているため、捜査が難しくなるというお話は印象的でした。
- 鑑識は縁の下の力持ちだなぁという印象を受けました。不特定多数の人物が使用する場所で犯人1人を特定したお話では、どのように確保までつないだのか、どのように行動を分析したのかもっと知りたいと感じ、興味が尽きないです。とても面白いお話でした。
- ある程度の経験則は大切であるという話について、今までの授業では経験則も重要であるが、データなどをもとに客観的な視点から物事を捉えることが重要であるとあったので、新しい方向からの意見を聞けて新鮮でした。このことから、警察が行っている様々な捜査には、心理学的な知見を用いることと個人の知識や経験則のどちらかだけでなく、どちらも非常に重要であると感じました。
- 最後の質疑応答では、私たちがドラマで見ている警察官との違いの説明や給料の使い道など外部講師の方ならではの話が聞けて、とても楽しかったです。また、私たちと年のあまり変わらない方々がこのように警察官として活躍しているということにすごく感銘を受け、私も外部講師の皆さんのように社会に出て立派に働けるように努力をしようと決意をすることができました。
- 今回の特別講義はすごく楽しみでした。こんなことを聞いても良いのかということまで答えてくださったので、とても貴重な経験をさせていただいたと思います。
- 警察署の中での日常的な雰囲気を知ることができたと感じます。若い警察官の方のお話の中でも上司との関わりについて聞くことができたのが嬉しかったです。臨機応変な対応が求められる仕事で、どう動くべきか分からないところから、上司とたくさん関わって学んでいくことができるのだなと分かりました。
- 女性と男性それぞれの回答が聞けたことはとても嬉しかったですし、女性警察官が活躍していることを目の当たりにできたので、同じ女性としてうれしい気持ちになりました。様々な場面で女性が活躍できるような社会になっていけばいいなと思い、自分自身も夢に向かって努力していきたいという気持ちが強くなりました。
- 特に印象に残ったのは、女性警察官の活躍についてです。男性警察官に比べて力の差があるので犯人が暴れる場合は厳しいと思いますが、女性ならではの冷静さ、話しやすさがあると聞いて活躍の場はたくさんあると思いました。
- 特別講義を通して、授業で学習した内容が実際どのように活用されているのか、また授業では学習しない警察業務などを学べた非常に有意義な時間でした。市民のお手本として、市民を守るために、日々の業務に細心の注意をはらっておられることを知られて良かったです。画面越しではありましたが、人のために働く姿は大変勇ましく、感動しました。
- たくさんお話が聞けて、楽しく、学びの多い時間でした。授業時間いっぱいまで聞けたことで、より警察について詳しくなったような気がします。 授業で習うこともそうですが、実際に見聞きすることで学びになることは多くあり、今回のお話も捜査心理学で学んでいることについて更に深い理解をできるような授業でした。本当にありがとうございました。
「生の声」というのは、やはり何よりも説得力があるようで、普段の授業での学び以上に響くものがあることを担当教員としても実感しています。様々な部署、様々な立場の方から話を伺えたことで、更なる気づきや更なる学びを得た特別講義でした。お忙しい中、特別講師として来てくださった山口県長府警察署の皆さん、そして卒業生の原田さんに改めて感謝申し上げます。
福山大学心理学科では、他にも魅力的な授業がたくさんあります。また追ってお知らせしますね!
学長から一言:頼りになる山口県警勤務の心理学科卒業生の先輩の尽力で実現した特別講義、鑑識課の現場の様子がつぶさに分かるオンラインでの授業は、受講生の心にズシンと響く内容だったようです。これで刺激を受けた受講生の中から、心理学の専門知識を身につけた将来の「花の警察官」が続々と生まれるかも知れませんね。卒業生との絆やネットワークの重要性をヒシヒシと感じました。また、ご協力いただいた山口県警長府警察署の皆様に心から感謝したい気持ちです。