【人間科学研究科】大学院心理臨床学専攻(2年次)修士論文公聴会を実施!
人間科学研究科心理臨床学専攻の修士論文公聴会が開催されました。この様子について、赤澤淳子教授に報告していただきます(投稿は福留)。
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人間科学研究科M2の副担任の赤澤です。
2月12日(金)、人間科学研究科心理臨床学専攻修士課程2年生の公聴会が実施されました。今年度の修了予定者は4名でしたが、学部生時代より進めてきた研究の集大成としての修士論文を執筆し、最終試験として4名が公聴会に臨みました。
滝口朋香さんは、心理学科の早期卒業制度を利用した学生です。3年生で学部を卒業し、飛び級で大学院に進学したので3年間で卒業研究と修士論文を完成させたことになります。また、滝口さんは公認心理師資格の取得も目指しており、450時間という実習時間と研究とを両立させながら頑張りました。研究テーマは「カウンセリング自己動機尺度の開発―自己開示動機と抑うつとの関連の検討―」で、カウンセリング場面での自己開示はカウセンターの対応や環境が重要であることを明らかにしました。自身が公認心理師としてカウンセリングを行うようになった際にも、この研究内容を活かすことができそうです。
呉浦南さんは、中国からの留学生です。本学の心理学科から大学院に進学しました。研究テーマは「中学生におけるストレス,感情調節が学校適応感に与える影響―日中を比較して―」で、日本の中学生283名,中国の中学生536名のデータを分析し、日本と中国の中学生に共通して感情調整の再評価方略が学校適応感を直接的に高めること、また中国の中学生は日本の中学生よりストレスや感情調節が高く、日本の中学生は中国の中学生より学校適応感が高いことを明らかにしました。母国語ではない言語での修士論文の執筆は大変だったと思いますが、呉さんは大学院在学中に「福山大学こころの健康相談センター紀要」に2本も論文を投稿しました。
黄善斌さんも同じく中国からの留学生で、本学の心理学科から大学院に進学しました。研究テーマは「マインドワンダリングと入眠困難の関連―認知的要因に着目して―」で、マインドワンダリングが認知的覚醒や非機能的信念を介して入眠困難を引き起こす可能性を明らかにしました。また、黄さんは学部生時代より研究活動に熱心で、中四国心理学会に参加して学会発表も行っていました。さらに、心理学検定1級も取得するなど、日本人の学生もなかなか取得できない資格を取得しています。
三浦なつみさんも公認心理師資格の取得を目指しており、450時間の実習と並行して、修士論文の完成に励みました。研究テーマは「児童生徒の学校環境適応感とポジティブ行動支援の関連」です。小学校5校で実施されたポジティブ行動支援の効果検証を行いました。その結果、ポジティブ行動支援を実施した担任教師や児童の評価からポジティブ行動支援によって児童の学校適応感が高まったことが明らかになりました。ポジティブ行動支援にも様々な種類があるようで、これらの支援内容は、今後教育領域や福祉領域の臨床にも役立てることができそうでした。
質疑応答においても4名は的確に応答し、公聴会後に主査や副査との意見交換を行う様子もみられました。また、当日はM1だけでなく、2021年度に大学院へ入学予定の学部生も参加して質問するなど、今後の研究活動にとっても有益な時間になりました。
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コロナ禍で人を対象とする研究は非常に困難な状況になりつつありますが,4名ともそれを感じさせない内容で立派に発表していました。本当にお疲れ様でした。
学長より一言:コロナに負ける事なく、大学院生も着実に研究に実習にがんばっているようですねッ!これからの人生や職業に、しっかりと生きてくるようなテーマですねッ!期待していま~す!!!