【☆学長短信☆】No.131 グリット（やり抜く力）

　新型コロナウイルス感染症の第一波が、ようやく収束の方向に向かってきたようです。しかしこれで終息するかどうかは、まったく予断を許しません。3月からいろいろな行事が中止になり、4月からの授業も延期になり、5月からの授業もなれない遠隔授業になり・・・とコロナに翻弄されてきました。予定していたことが出来なくなり、「やるぞ！」と意気込んでいた意欲はくじかれ・・・でも、くじけたままではいけませんね。時機が来れば、しっかりと取り返していきましょう。一度定めた目標を、少々の困難にもめげず、粘り強く追求することは、人生で何事かを成し遂げる上で、とてもとても重要です。

　困難、失敗、競合目的、誘惑にもかかわらず、長期目標に対して示す情熱（興味の一貫性）と粘り強さを示す、比較的新しい心理学概念にグリット（grit）があります。グリットの高い人は、知的能力の高低にかかわらず、数日や数ヶ月を超えて、これと定めた目標に対して高水準の努力を続けるので、目標を高水準で達成する可能性が高いと言われています。生得的な知的能力･才能とは別次元の、しかし大学生や社会人にとっては非常に意味のある特性で、難関の資格取得、プロジェクトや研究の成功、仕事の長期目標の達成などには欠かせない特性です。例えば、教員を目指した学生が、必要単位を取得し、採用試験に合格し、そして教員に採用されるかどうかの予測力は、グリットの方がセンター入試成績より高いという研究結果もあります。学生の皆さん、とりわけ新入生の皆さん、コロナに負けず、大学での新しい学びに立ち向かっていきましょう。

　ところで、グリットは生得的能力と言うよりは、教育的介入や経験により育成可能な動機づけ的要因と考えられており、20代から60代までの男女について調べた研究では、年齢と共に上昇する傾向が見られています。また性格特性では、誠実性のみが強く関係しているとのことです。

　年齢とともに強くなる好ましい性格特性としては、学長短信No.113で紹介したレジリエンスもあります。レジリエンス（落ち込んだ後の回復力）やグリット（あきらめない粘り強さ）のように、少なくとも60歳頃までは成長が可能な特性があるのです。教職員の皆さんは、学生のこれら特性の成長を促せる人でありたいですし、自身もこれらの特性を伸ばし続ける人でありたいですね！

参考文献：

竹橋洋毅ほか著『日本語版グリット尺度の作成および信頼性･妥当性の検討』心理学研究 2019年 第89巻 第6号 pp.580-590.

 新型コロナウイルス感染症の拡大は、社会にも大学にも大きな影響を及ぼしています。そのような中、学生も教員も活躍し、福山大学後援会から、そして学校法人福山大学から、種々ご支援をいただいています。

まず学生の活躍から。2人ともトビタテ留学JAPAN「ふくやまグローカル人材育成事業」の修了生です。

（1）生命工学部生物工学科4年生の片岡玲実奈さんは、外出自粛の中、オンラインで出来る企業活動等について、ウェブ会議システムを使った学生や社会人の参加する座談会を開き、意見交換しました。5月3日の中国新聞で紹介されました。タイムリーな活動ですね。

 （2）生命工学部海洋生物科学科3年の中荒井李華さんは、新型コロナウイルス感染症拡大の中、栃木県の母校の役に立ちたいと手作りの布マスク300枚を寄贈しました。5月14日のYAHOOニュースで紹介されました。

　オンライン学長室訪問を初めて試みました。詳細は学長室ブログで。

https://www.fukuyama-u.ac.jp/blog/34209/

教員も活躍です。

（3）人間文化学部心理学科の武田知也講師が、日本私立学校振興･共済事業団の「2020年度　若手･女性研究者奨励金｣に選出されました。おめでとうございます。

採択一覧等はこちら。

https://www.shigaku.go.jp/files/s_wakatejosei_saitaku2020.pdf

採択率はわずか20％あまりですが、福山大学からは少なくとも最近3年間は連続して選ばれています。

福山大学後援会からのご支援です。

（4）後援会より、全学生にマスクを送付していただきました。ありがとうございました。学生の皆さん、対面授業が始まったら、大学に着けてきてくださいね。

詳細はこちら。

https://www.fukuyama-u.ac.jp/news/34481/

学校法人福山大学からのご支援です。

（5）法人より、全学生に一人5万円の学生支援給付金の支給がありました。ありがとうございました。

詳細はこちら。

https://www.fukuyama-u.ac.jp/news/33740/

最後に

（6）建設中の福山大学未来創造館新築工事の上棟式が、5月12日に無事執り行われました。12月末の完成が楽しみですね。

詳細はこちら。

https://www.fukuyama-u.ac.jp/news/33750/