生命工学部

Faculty of Life Science and Biotechnology

【グリーンサイエンス】BIOMEを使った「生物多様性保全に向けた市民科学の実践」セミナー

【グリーンサイエンス】BIOMEを使った「生物多様性保全に向けた市民科学の実践」セミナー

海洋生物科学科の渡辺です。 写真のような大変面白いセミナーの案内をさせていただきます。 生物学・環境学・情報学・経済学と多分野を横断した研究を行う講師による講演です。 多くの皆様にお越しいただき、盛んな議論ができることを期待しています。
 
講師は、もともと京都大学で衛星リモートセンシングにより東南アジアの森林生態系の研究をしてきた藤木さんという方です。 衛星データの解析だけでなく、熱帯のジャングルでフィールドワークを続けてきた方です。 その経験から、環境保全の意義を感じてきましたが、環境保全≠ビジネス」(金にならない) の関係に大きな問題を感じ、学位取得後に起業した方です。 
 
とあるシンポジウムで彼の話を聴き、最初は、うさんくさい話だなと彼の聞いていましたが、彼の理念とそれを形に変える力に感銘を受けました。 ぜひとも福山大学の教員・学生の皆さまと意見交換をしたいと思い、企画いたしました。
 
彼の目指すものは、「環境保全=ビジネス」(金になる)ことを実践していくことで、まず手掛けているのが、生物情報の収集スマホアプリ(Biome)の開発で、リリースしてわずか4カ月で10万件を超えるユーザーがいるそうです。 このアプリはスマホで撮影した画像から、独自のAI技術により生物種を判別して、データベースに登録するものです。 これまでこうしたアプリは知られていましたが、生物種の判別制度が悪く、実用的なものがありませんでした。 日本国内だけでも、動植物は6万種を超えるため、写真だけで種を識別するというのは容易なことではありません。 このAI技術についても大変興味深いものです。工学部の皆さまには大変興味深い内容かと思います。
アプリで見つけた生物を登録すると、保全の必要性(レア度)に応じたポイントが加算され、それに応じてレベルが上がります。 リアルポケモンGOといった感じで、各ユーザーがゲーム感覚で生物情報を収集し、生物情報のビッグデータが後に生物多様性の保全にいかされるそうです。
 
ユーザーのほとんどは生き物の研究とは無縁のアマチュア愛好家のみなさまです。 また、このアプリを使うまで、生き物に興味などない方も多いそうです。 しかし、このアプリを使うようになると、身の回りにこれほど多くの生物が暮らしていたことに驚き、そして興味を持つのではないかと思います。
 
このアプリにより収集された情報は研究目的であれば無料で使用することができるそうです。 個人的には、カブトガニのような希少動物の分布情報の収集などに活用できるのではないかと期待しています。 また、このアプリを教育にも活用できるのではないかと期待しています。 さっそく海洋の実習では、このアプリ(BIOME)を取り入れた「磯の生物観察」をはじめています。 従来、生物採集・観察(スケッチ)・情報検索は個人で行う内容でしたが、このアプリを介して、情報を共有し、データベース化することの意義についても、伝えることができるのではないかと期待しています。
 
説明が長くなりましたが、興味を持っていただけた場合は、ぜひともセミナー(12/6 15:00-17:00 2432教室)へお越しください。 また、よろしければ、以下からアプリをスマホへダウンロードして、使ってみてください。(課金等はございませんので、ご安心ください。)
 
iPhone版:  

Android版: 

感想について、当日、藤木さんと意見交換できれば、大変有意義な会になると期待しております。
 
渡辺伸一
 
 

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