【生物工学科】大学院生の研究論文が受理されました!
昨年度、本学大学院工学研究科生命工学専攻を修了した塩田紗希さんと生物工学科卒業生の松村直樹君が広岡和丈准教授の指導のもとで行った研究内容が、神奈川大学の岡田正弘教授との共著で論文となり、日本農芸化学会の英文学術雑誌であるBioscience, Biotechnology, and Biochemistryに掲載されることが決定しました!
a) ホモロジーモデリングで構築したC10型ComQの触媒中心の構造
b) 各型のComQでプレニル基質が収容される模式図
ComXフェロモン合成を担うComQ酵素
論文のタイトルは Identification of critical residues for the catalytic activity of ComQ, a Bacillus prenylation enzyme for quorum sensing, by using a simple bioassay system です。この論文では、バシラス属の一部の細菌が出すComXというフェロモンの生合成に関わるComQという酵素の特性に重要なアミノ酸残基を特定したことを報告しています。
ComXフェロモンはアミノ酸が連なったペプチドでできており、その中のトリプトファン残基が炭素数10または15のプレニル化さ れたユニークな構造をしています。このプレニル修飾を担う酵素がComQであり、ComXフェロモンのプレニル鎖の長さはComQの特性によって決まります。今回の研究で、炭素数10の修飾をするComQでは触媒中心の特定の残基がフェニルアラニンであるのに対し、炭素数15の修飾をするものでは対応する位置がセリン残基であることがそれぞれのComQの特性に重要であることを明らかにしました。
バイオフィルム形成のメカニズム
ComXフェロモンは、生産する細菌が自分と同族が近くに集まっているかを知るために使われ、バイオフィルム形成といった集団的なプロセスに入るときに重要な役割を果たしています。ComQの機能を明らかにすることで細菌が自分の仲間を見極める仕組みを知る手がかりになるかもしれません。