【生物工学科】ラオスでラム酒作り LAODI 井上氏登壇
生物工学科では12月にラオス研修を予定しており、その前半はLAODIでラム酒製造について学びます。 そのLAODIの副社長である井上育三氏が、本学科の授業「バイオ経済・企業論」に登壇されました。
なぜラオスでラム酒作りを?
井上会長は、もともと理化機器を扱う会社に勤めるサラリーマンで、福山大学にも多くの理化機器を納入されました。 しかし40代半ばになると営業の現場からは遠ざかってしまったので、新たに海外事業に活躍の現場を移されました。 その一環として、タイでサトウキビからバイオエタノール製造に関わっている頃、たまたま立ち寄ったラオスが気に入ってしまい、ここで何かできないかと思われたそうです。
調べてみると、サトウキビはもともとタイやラオスが原産地とのこと。 しかし、サトウキビ栽培は装置産業で、お金のないラオスでは装置が揃えられず、サトウキビが植えられていません。 そこで、サトウキビから何を作ったら経済的にラオスが潤うのか?を考え、ラム酒作りを思いたったそうです。
会社ができるまで
ラオスは社会主義国で、外国人に簡単にラム酒製造の許可が下りるとは思えません。 ツテを頼って7人の大臣の前で、「ラオスでのラム酒作りがいかにラオスのためになるか?」という渾身のプレゼンテーションをしたところ、何と1週間で許可が下りたそうです。 まさに神風が吹きました。 そこで退職金を前借りしたりして5000万円を工面し、土地を開墾してサトウキビを植え、ラム酒工場を建てたそうです。
会社をたたんで また再開
こうして苦労して会社は出来たものの、ちっとも儲からず、最初日本人5人で始めた会社は4人が手を引く事になりました。 2015年にいったん会社を精算し、その後井上さんが一人で引き継ぎ、ラオス人と一緒に再開したのが現在のLAODIです。 テレビで取り上げられそうな壮大な話ですね。 実際、日本のテレビ局からは多くの取材が押し寄せ、最近はNHK以外は取材を断っているそうです。
※うちのラオス研修後に、NHKのロケ隊が滞在するそうです。
ラム酒ってどんなお酒?
ラム酒はサトウキビから作る蒸留酒で、サトウキビから砂糖を取った後の廃液(廃糖蜜)から作るインダストリアルラムがメインですが、他にも沢山の種類のラムがあり、世界で最も多く作られているお酒の1つだそうです。 ビールや日本酒と違って(まずデンプンの糖化が必要)、糖液から酵母の発酵でつくるお酒なので、作り方が簡単です。
LAODIのラム酒の特徴は?
LAODIのラム酒は廃糖蜜から作るのではなく、有機栽培、無農薬で育てたサトウキビの、フレッシュな絞り汁だけを原料にしてつくるアグリコールラムで、自社で農場を持ち、サトウキビを内製しているところが最大の特徴です。 きれいな、ピュアでフレッシュなラム酒です。 特に蒸留したままのホワイトラムは、サトウキビの香りが際立つ純粋なラム酒だそうです。
授業を聞いた学生さんの反応は?
通常授業後に「何か質問はありませんか?」と聞くと、学生さんの手はピクリとも動かないことが多いのですが、今回は多くの質問が出て、講演後も講師の回りに質問の輪が出来ました。 めったにないことです。
「ラオス人と一緒に仕事をするのに、どういうことに気をつけましたか?」「ラオスで農業をする苦労話は?」「色々なラム酒の違いは?」などなど。 「先生の話を聞いて心に刺さりました」「自分の夢を実現するのはすごいと思いました。 自分も夢を実現する人生を歩みたいと思います」「自分もビッグな人間になるので、見ていてください」等々。 講義は大好評だったと思います。
ラオス研修に参加する学生さんは、「ラオス研修が、更に、すっごく楽しみになりました。」「ラオス研修に参加する学生さんがうらやましい」 ということで、とても良い事前学習になりました。