【プレスリリース】真無盲腸目の哺乳類は恐竜の絶滅後に多様化した

次世代シークエンサーを用いた最新の進化遺伝学的分析により、モグラ、ハリネズミ、トガリネズミ、ソレノドンを含む哺乳類の一つのグループが、恐竜を含む生物種の大量絶滅が起きたとされる6600万年前よりも後に、多様化したことが支持されました。本研究成果は2019年8月31日にMolecular Phylogenetics and Evolution(オンライン版)に掲載されました。

 

6600万年前、メキシコのユカタン半島に巨大隕石が衝突し、その影響で恐竜を含む生物種の大量絶滅が起きたと考えられています。化石の記録からは、6600万年前よりも後に、恐竜などの不在の穴を埋めるように哺乳類が多様化したことが知られていますが、それぞれの哺乳類がいつ多様化したかについては未だに謎が多く、特に、DNAを用いた進化学的研究において、モグラ、ハリネズミ、トガリネズミ、ソレノドンを含む真無盲腸目の初期進化の時期が6600万年前よりも前なのか後なのかについて激しい議論がありました。この問題を解決するために、次世代シークエンサーで従来よりも多くのDNA情報を獲得し、最新の進化遺伝学的分析を行った結果、真無盲腸類は6600万年前よりも後に多様化したことが支持されました。過去の研究における対立する結果の原因を調査した結果、哺乳類のグループ毎で異なる“進化速度”の違いが原因であることがわかりました。つまり、進化年代の推定には適切な“定規”が必要であることが示されました。本研究成果は、哺乳類の初期進化に関する重要な知見になると考えられます。

 

Sato JJ, Bradford TM, Armstrong KN, Donnellan SC, Echenique-Diaz LM, Begue-Quiala G, Gamez-Diez J, Yamaguchi N, Nguyen ST, Kita M, Ohdachi SD (2019) Post K-Pg diversification of the mammalian order Eulipotyphla as suggested by phylogenomic analyses of ultra-conserved elements. Molecular Phylogenetics and Evolution  https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1055790318307152 福山大学、アデレード大学、北海道大学等との共同研究

 


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【担当者】佐藤 淳(生物工学科)

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