生命工学部

Faculty of Life Science and Biotechnology

【生物工学科】光るバクテリア

【生物工学科】光るバクテリア

目に見えない生き物について自信を持って語ることは難しいですよね。でも、生物工学科にはそんな小さき生き物について自信を持って語ることのできるつわものたちがたくさんいます。その一人が広岡和丈准教授です。あの納豆のねばねばを作る納豆菌を含む枯草菌を研究しています。普段は土壌中で生活をしているほんの数㎛の小さな生き物をうまく使うことで、食品や薬品産業など私たちの生活に役に立つ物質を作ることができます。

先日、学長室ブログで植物の生育を助ける枯草菌の役割を説明しました(こちら)。枯草菌の力はこれだけではありません。次回8月18日オープンキャンパスでは、そんなバクテリアの働きの奥深さを感じていただきたいと思います。皆さん是非、生物工学科のオープンキャンパスにいらしてください。

生き物の力を使うことはバイオテクノロジー(生物工学)が得意とするところです。枯草菌の中にGFP(緑色に光る蛍光タンパク質)をつくる遺伝子を取り込ませてあげて、光の程度を測定することで、枯草菌がタンパク質を作る力を測ることができます。下の写真を見てください。光るはずのない枯草菌が光っています。この光る遺伝子を他の遺伝子に変えてみたらどうなるでしょう?たくさん役に立つタンパク質が作られそうですね。これまでに枯草菌を使って、インスリンやインターフェロンなどの医薬品、プルラナーゼなどの糖分解酵素、抗菌物質の生産などが研究されてきました。

従来は、大腸菌E. coliが物質生産のための主役のバクテリアとして活躍してきましたが、この研究により、枯草菌の可能性が改めて認識されることとなりました。大腸菌には、人を含む哺乳類に発熱を引き起こすエンドトキシンと呼ばれる毒素(リポ多糖)が存在することが一つの問題でありましたが、枯草菌にはその問題がないことが利点であるようです。この研究は、昨年、大学院修士課程を修了した玉野さんが研究した成果であり、すでに論文にもまとめられています(こちら)。学生の努力の結晶が世の中に論文として出ることは大学の研究者としては最大の喜びです。これからどんな役に立つ物質が作られるのでしょうか。楽しみですね。8月18日(日)の生物工学科オープンキャンパスでは、バクテリアの可能性について存分に感じていただければと思います。9月14日(土)の生物工学科オープンキャンパスは、微生物の力を使ったオリジナルワイン造りについて紹介します。こちらもお楽しみに。

<文責 生物工学科 佐藤淳>

 

 

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