生命工学部

Faculty of Life Science and Biotechnology

【生物工学科】生き物が賑わう実習

【生物工学科】生き物が賑わう実習

この地球上には数多くの生き物が生息しています。第6の大量絶滅の時代になりつつあると言われる現在、自然との共生は21世紀において大切な考え方です。私たちの生活が生き物たちにどのような影響を与えるのかを知らなくてはなりません。

ということで、今年も始まりました生物工学科3年次生対象の生物多様性実習。緑豊かな福山大学のキャンパスを舞台に、様々な生き物を採集し、標本作成やDNA実験を行ないます。前半は4月に植物の押し葉標本づくりを行いました(担当:原口教授)。この6月は主にネズミと昆虫の採集とその遺伝子の多様性を調査する実習です(担当:佐藤准教授)。今週はその中で最も大変なフィールド調査を行いました。

ネズミのトラップ120台を仕掛けると共に、虫を採集し、DNA実験のためのサンプルを集めました。ネズミのトラップは設置した場所の地図を書き、あとで見つけやすいように蛍光ピンクのサインテープを近くの木に巻き付けます。これをしないとよく紛失してしまうのです(1台3000円。。。)。思い思いにネズミがいそうな場所にトラップを仕掛けます。

「近くの木に巻き付けてね」と言った記憶が鮮明にあるのですが、こんなプレゼント風のものが。。。まぁ紛失しなきゃいいんですけどね。。。実際、プレゼント風のトラップにアカネズミがかかっていました。

楽しそうに虫網持ってフィールドを駆け巡る学生を見ていると、少しホッとします。なぜでしょう。積極性を感じることができるからか、生き物が好きであるという人の性質を見ることができるからなのか、わかりません。もちろん、虫が嫌いな人もたくさんいます。人には進化的に生き物に怖れを感じる部分が残されています。生き残るためですのでごく自然です。そういった多様性を全て受け入れ、自然との共生を考えていかなければなりません。

今年も無事にアカネズミを6頭捕獲することができました。この実習内容が行われるかどうかはネズミを捕まえられるかどうかにかかっています。こんな実習他にありません。でも毎年ちゃんと捕まります。アカネズミは森の中でしっかりとその命を次世代につないでいるようです。DNA分析用のサンプリングを行った後は、6頭全てを元の森にリリースしました。元気よく森に走り去っていきましたよ。毎年感じるのは、島のアカネズミよりも本州側のアカネズミの方が活発であることです。良く動いたり脱出を試みて齧ろうとしたり。捕食者の影響かな?遺伝的な違いがあれば面白いのですが。
この実習では、たいていアカネズミしか捕まらないのですが、たまーに珍しい動物がトラップの中にいます。過去には、ヒミズやカヤネズミなどがいたこともあります。今年、トラップにおられたのは、、、ヒバカリというヘビでした。体長50cmくらいの小さなヘビです。

「かわいい」という声がたくさん出てくるのがこの生物工学科。みんなでその筋肉の伸び縮みの仕方や力の入り加減、口の開け方など、まじまじと観察していました。今年も野生の生き物とたくさん触れ合うことができました。まずは、ケガもなく無事にフィールド調査を終えることができ、一安心です。さて、来週からはこれらの生き物のDNA実験です。頑張りましょう。

文責:生物工学科 佐藤淳

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