【生物工学科】福山大学ブランドワインの3年目!
バラの花びら等から酵母を分離してパンやワインの開発を行っている生物工学科の久冨泰資教授より、「備後ワイン」発売のお知らせです!学長室ブログメンバーの吉﨑が投稿します。
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「福山バラ酵母」と「福山ブドウ酵母」を使って醸造した福山大学ブランドワインについては、これまでに数回レポートしてきました(以下のブログをご覧ください)。
・福山大学ブランド第二弾、「さんぞうの赤」ワインを発表へ!!
・生物工学科4年生が「日本ブドウ・ワイン学会」で研究成果を発表!!
・【生物工学科】“さんぞうの赤2017”発売!
今回は、福山大学ブランドワインの3年目についてレポートします。
福山市は市の花にバラを選定しており、100万本のばらのまち福山として毎年5月には市をあげての盛大なイベントである福山ばら祭が開かれています。また、福山市の沼隈町は種無しのニューベーリーAというブドウの一大産地です。本学生物工学科の分子生物学研究室(久冨泰資教授)では、特産のバラの花やブドウの果実から野生の酵母を取り出して、地域特有の上質なパンやワインを作り出す酵母を開発しました。下の写真は、酵母が生息するバラの1品種(ミスターリンカーンの花)とブドウの1品種(ニューベーリーAの果実)です。
写真1.バラの花とブドウの果実
酵母は真核生物の仲間で、その大きさはヒトの髪の毛の直径の10分の1くらいしかありません。もちろん、肉眼では見えないのですが、顕微鏡を使うと芽を出して増殖する様子が観察されます。
写真2.酵母の大きさ
昨年(2018年)の9月28日に、「せらワイナリー」で赤ワインの仕込みを行いました。ブドウは世羅町産のマスカット・ベーリーAで、酵母は福山大学で開発されたバラ酵母1株とブドウ酵母3株です。いずれも発酵食品の製造によく用いられるサッカロマイセス・セレビシエという酵母の仲間です。下の写真は、仕込みを行ったタンクの前で撮ったもので、左から順に「せらワイナリー」の行安醸造長と久冨教授と当時4年生だった猪塚くんです。
写真3.仕込みの様子
仕込み当日には、日本経済新聞社や中国新聞社の記者が取材に来てくれました。
2017年発売(2016年ヴィンテージ)と2018年発売(2017年ヴィンテージ)は、バラ酵母とブドウ酵母が開発された福山大学にちなみ、その所在地名を賞して「さんぞうの赤」と命名しました(福山大学ワインのラベル/エチケットデザイン 決定!!)。しかしながら、2018年10月30日には酒税法が改定されました。ワインのラベルに地名を標記する際には、ブドウの産地やワインの醸造場所がその地域内にあることが必須要件となりました。したがって、福山大学が所在する三蔵(さんぞう)の地名は使えなくなりました。そこで、福山大学で開発された酵母を用いて「せらワイナリー」で醸造したワインには、より幅広い地域を指し示す備後の地名を冠して「備後ワイン」と命名することにしました。慣れ親しんできた「さんぞうの赤」の名称が消えるのは寂しいかぎりですが、酒税法に従うことが最優先です。下の写真は、「備後ワイン」のラベルの表と裏のデザインです。
写真4.備後ワインのラベルの表と裏
下の写真は、福山大学ブランドワイン三代の変遷です。ワインのラベルは少しずつ変更されてきましたが、これからは「備後ワイン」として定着する予定です。本年度の備後ワインは、5月15日に発売となりました。イチゴのような甘い香りが特徴の優しい飲み口のピュアーなワインに仕上がっています。1本(720ml入り)1,944円(税込み)で、1,300本が市場に出ます。酒販卸店から小売業者へは既に完売しており、予約注文も多いため、市場での購入は少し難しい状況にあるかもしれません。
写真5.福山大学ブランドワイン三代の変遷
学長から一言:今年も出ましたねッ!!!福山大学発のワイン!!!ところで、バラ酵母とブドウ酵母で作ったワインが上手に出来上がると、なぜ“イチゴのような甘い香り”がするようになるのか、と言う疑問にまだ答えていただいていませんねッ!!!