【スマートシステム学科】里山・里海プロジェクト 水中ドローン発進

【スマートシステム学科】里山・里海プロジェクト 水中ドローン発進

福山大学ブランディング推進のための研究プロジェクトとして展開中の瀬戸内の里山・里海学で、スマートシステム学科は藻場観測のための海底カメラを開発中です。前回、1月28日のブログでは、因島沖の八重子島付近で、海中海底の画像を取得することに成功して多くのデータが得られました。今回は、その実験の続報がスマートシステム学科の田中准教授より届いていますので、工学部スマートシステム学科(フェイスブックはこちら)の伍賀が紹介します。

 


海底カメラは海へ(4)〜水中ドローン発進

実験中の海中ドローン(ROV Remotely Operated Vehicle

 海中ドローン(ROV Remotely Operated Vehicle) をご存じでしょうか。海洋調査において、船から放出されて海中を動き回りながら探査や採取を行う小型の海洋ロボットのことです。福山大学では本格的な藻場探索用のROV開発を行っていますが、今回の海底カメラの運用実験では海底カメラとともに海中ドローンの運用を行いました。海の中を泳ぎ回るドローンの魅力をお伝えします。

今回、使用した海中ドローンはトライデント社のOpenROVという機体(写真)です。サイズは30cmサイズの箱型で、長いワイヤ(テザー)をひきずるものの、リアルタイムの水中画像を見ながら船上からリモコン操作ができる海洋調査ロボットです。50mの潜水性能とユーザがDIYで機体を改造できるという汎用性(オープンソース)が売りです。

今回(2月)の実験場所は、先月と同じ因島にある本学の内海生物資源研究所の近くの二子島の近くの岩場です。天気は薄曇りで微風がありますが、海面は凪いでとても良いコンディションです。

いつものようにあっという間の実験現場に到着して、周囲を見渡すと水深3mくらいの海中にはアカモクが繁茂している様子がはっきりと見えます。一方で魚類はと、探してもどういうわけかなかなか見つかりません。うまく隠れているのでしょう。

早速、海底カメラを投入します。海底カメラ実験も4回目となり手慣れてきました。リモコンボタンで電源を入れて海に落とすだけの簡単仕様です。まずは、落ちていくカメラが捉えた海中のすばらしい光景をご覧ください。


カメラ投入前の準備作業中

船(爽風丸)から投げ込まれたところ

アカモクの中を落ちて海底へ

日差しにきらめくアカモクが揺らいでいる砂地に着地

 

ちょうど、アカモクの林立するそばに着地したようです。緑色の体が波に揺れると金色の陽光がアカモクの上をきらめいて流れる様子には、神秘的な美しさを感じてしまいます。

船上では海中ドローンの準備です。操縦はタブレット端末とゲーム機Xboxのコントローラです。ゲーム機に慣れている人はだれでも操縦できそうです。推進用のスクリューは後部に4機搭載されており左右と上下方向に向いており、傾かない限りスクリューの軸方向に進むように作られていて素人でもわかりやすい構造です。

準備ができたところで早速投入して運用テストを開始します。本体はとても軽いので海面においてすぐに発進できます。

海中ドローンはとても軽く扱いやすい

長いテザーを引きづって出発進行

海中ドローンの潜水テスト(50mまで潜水可能です)

船から10mくらい離れたところまで航行(テザーは100mあります)

波の少ない水面をゆらゆらと進んでいきます。おもちゃのような海中ドローンがゆらゆらと進んでいくシーンですが、操縦に慣れないのでなかなか思うようには進みません。右に進みたいけれどテザーが邪魔になって旋回できないとか、潜水したのはいいがどこにいるのかわからないといった具合に操縦に悪戦苦闘して小一時間、不慣れな試験運用が終わりました。海中ドローンに取り付けられたカメラ画面を見ながら操縦するとか簡単に言ってしまうものの、そうした操縦がいかに高等技術であるかを思い知らされました。空のドローンと同じで十分な操縦訓練を積んで実験に臨むべきでしょう。特に気をつけなければならないのはスクリューに藻が巻き付いて動かなくなるというトラブルです。今回の試験運用でも盛大に藻がひっかかってしまい慌てました。多くの課題に気づかせてくれた運用実験でした。

さて、ここからは海底カメラから撮影した海中ドローンのシーンをご紹介します。冬の瀬戸内海はとても透明度が高く、3~5mの深さにある海底カメラも水中ドローンも海面からはっきり見ることができます。

海底カメラの近くに接近

まずは、船から延びる海中ドローンのテザーの様子です。銀色に光る細いテザーの様子をしっかり見ることができます。

 

 船から延びている海中ドローンのテザー(海底カメラから撮影)

そして、海底カメラに近づいてきた海中ドローンをとらえた画像です。太陽光に照らされてUFOのように浮かんでいるとても幻想的なシーンを撮影することができました。

 

船から延びている海中ドローンのテザー(海底カメラから撮影)

海中ドローンの動きは、とてもゆっくりです。これならば住んでいる生物をそれほど驚かせたりもしないでしょう。一方の海底カメラは同じ場所で昼夜を問わずに藻場の観測ができます。2つの観測機器の特徴を生かしてありのままの瀬戸内海の自然を記録し、探査して瀬戸内海の海の秘密を解明したいとの野望を抱いています。それではまた。

 

学長から一言:デンと構えた先輩の海底カメラにかわいい海中ドローンが、はにかみながらご挨拶。。。と言った風情ですね。。。さあこれからがサイエンス。。。がんばれ海底カメラ!がんばれ海中ドローン!!!

この記事をシェアする