【☆学長短信☆】No.113レジリエンス
年度末が近づき、卒業判定、進級判定の時期になってきました。教員の皆さんの指導している学生たちは大丈夫でしょうか。
さて、表題のレジリエンス(resilience)は、弾力、弾性、跳ね返り、そして精神的な立ち直りの早いことや活発さを表す英語ですが、心理学用語としても、「困難で脅威的な状況にもかかわらず、うまく適応する過程、能力、結果」として、最近は良く用いられます。
これからの、変化の速いかつ変化の内容の見通しの立ちにくい時代にあっては、少々予期しない困難に遭遇しても、それに打ちひしがれず、あるいは一時的には打ちひしがれても、出来るだけ早く立ち直り、建設的に考えたり行動したりすることが出来るということがとても重要でしょう。このレジリエンスには、比較的生得的で器質的な要因、例えば「楽観性」「統御力」「社交性」「行動力」などと、生活の中で獲得していく面の強い要因、たとえば「問題解決志向」「自己理解」「他者心理の理解」などの二つの要因があるという研究結果があります。あなたの回りの、落ち込みからの立ち直りの速い学生と遅い学生を思い浮かべると、ある程度納得がいくのではないでしょうか。もっとも、比較的器質的とされる要因でも、環境やきっかけによって変わりうることはもちろん否定できません。
変化をもたらすものの一つに年齢があります。5千人あまりの日本人成人(20歳から70歳で、男女ほぼ同数)を質問紙調査した研究によると、器質的要因でも獲得的要因でも、レジリエンスは年齢と共にほぼ直線的に上昇していました。すなわち、20歳の若者より70歳の高齢者の方が、平均的には立ち直りが速いのです。教員は、知識の面だけでなく、レジリエンスというような面でも、学生は発達途上にあることを理解し、忍耐強く成長を促す必要があります。年齢差の原因は詳細には分かりませんが、学習経験を通じて多様な知識を身につけることそれ自体もレジリエンスを高めるといわれていますし、失敗から立ち直る経験をすること、仲間と衝突しながらも何かを成し遂げること等々、大学生活の中の多くの経験が、レジリエンスを高めるのに役立つでしょう。私たちはそのような観点からも、学生の教育や指導、あるいは日頃の接触に気を配りたいですし、学生の気分変動にも寛容でありたいものです。
参考文献:上野雄己
他(2018)「日本人成人におけるレジリエンスと年齢の関連」心理学研究, 89,
514-519.
学生のすばらしい活躍です。
(1)教育ネットワーク中国の加盟校の学生が参加している、中国新聞のキャンパスリポーターですが、2018年度キャンパスリポーター最優秀賞を、本学薬学部2年生の道原あやなさんが受賞しました。おめでとうございます。
本学のキャンパスレポーターについてはこちらの学長室ブログで。
http://blog.fuext.fukuyama-u.ac.jp/2017/06/blog-post_41.html
道原さんの活動については、こちらの学長室ブログがよく分かります。
https://www.fukuyama-u.ac.jp/blog/9559/
(2)【HiFAアウォーズ】広島県サッカー協会年間表彰式が、1/26(土)に行われ、本学からは次の6人の学生が受賞しました。全員、経済学部経済学科の2年生です。
泉 勇也 君、隈元 聖 君、小倉 貫太 君、﨑山 誉斗 君、塚本 和輝 君、山下 翔也 君
おめでとうございます。来年度の活躍も楽しみですね。
本学の国際交流が、最近はずいぶん多様かつ活発になってきました。
(3-1)日本学生支援機構(JASSO)に継続申請していた双方向海外協定留学プログラム「日本とブルガリアを繋ぐ懸け橋となる双方向学生交流プログラム」ですが、実績が認められ、前回に続いて採択となりました。これでまた2019年9月から2020年8月までの1年間、JASSOの支援のもとでのブルガリアへの学生派遣とブルガリアからの学生受入が実施できます。今回の支援概要は、派遣学生1名(月額7万円)、受入学生1名(月額8万円)です。
全国の採択校については下記の、「4.
平成30年度海外留学支援制度(協定派遣)審査概要」をご覧ください。
https://www.jasso.go.jp/ryugaku/tantosha/study_a/short_term_h/2018.html
(3-2)ブルガリアのソフィア大学との「エラスムスプラスプログラム協定2019-2021」が合意され、EUの助成金を受けての両大学学生・教員の留学・派遣制度が来年度以降も継続することになりました。
(3-3)科学技術振興機構(JST)の「さくらサイエンスプラン」の公募に採択され、昨年の8月27日~9月2日、ベトナム国立ハノイ土木大学情報工学部から教員と学生を招へいして、工学部スマートシステム学科が中心となって行なった「瀬戸内の自然とスマートシステムの共生を考察する」の報告がJSTのホームページに掲載されました。
https://ssp.jst.go.jp/report2018/k_vol167.html?fbclid=IwAR1sy3HPbEi0BS_MRXXp-Fllw_Llp_0YRLqKH4o8NxR5BdCtrRQkghUx11g