【スマートシステム学科】里海里山プロジェクト・海底カメラの見た海の底

【スマートシステム学科】里海里山プロジェクト・海底カメラの見た海の底

福山大学ブランディング推進のための研究プロジェクトとして展開中の瀬戸内の里山・里海学で、スマートシステム学科は藻場観測のための海底カメラを開発中です。前回、11月17日付のブログでは、福山大学マリンバイオセンターの実習船である爽風丸で海底に投入実験の画像を紹介しました。今回のフィールド実験では、さらに藻場観測の実験が進み、多くの結果が得られていました。スマートシステム学科の仲嶋教授や田中准教授から届いていますので、工学部スマートシステム学科(フェイスブックはこちら)の伍賀が紹介します。


海底カメラの海中投入実験(3)~海底カメラの見た海の底・海底への旅

皆さん、海底カメラによる藻場の撮影実験に成功しました!!

藻場観測、ファーストショットです

里山・里海プロジェクトの海底カメラシリーズの第3弾の実験の報告をお送りします。今回(1月11日(金))は、11月の報告時よりさらにアップデートした海底カメラを投入します。実験現場は因島にある内海生物資源研究所の前に見える小さい島(八重子島)の前です。ここは水深が1m程度と、とても浅いところもあるので、今回は小型船の第一爽風丸に乗って出航です。1月早々で冬のとても寒いはずの時期ですが、晴天で波も穏やかな実験日和です。幸先もよく、今年は良いことがありそうです。

因島沖にある八重子島

冬の海の様子は秋頃とは様変わりしています。秋頃の海底は、砂の砂漠のように干からびて海水はプランクトンで濁って視界は数メートルしかありませんでしたが、今回行ってみると砂地からアカモクがニョキニョキと立ち上っていて、それが船上からもはっきりと見えるくらい海水の透明度も高いのです。来て良かったと、まずは感動します。

早速、リニューアルした海底カメラの投入です。以前と何が違うのかというと、第一にダイエットに成功しました。秋頃までは40kgを超えていたカメラの体重は、今や10kg程度に激減しました。そのおかげで、船のウインチに頼っていたカメラの上げ下げが、人の手でできるようになりました。第二に遠隔操作用のリモコンと動作表示のLEDを搭載しました。揺れる船の上でパソコンのキーボードを操作するのは大変です。これからはリモコンのボタンを押すだけで、あとは内部のソフトウエアが管理しLED表示してくれます。ちょっとだけ賢く使いやすくなりました。

 大きくリニューアルされた海底カメラ

 

3人がかりで海に沈めます

 

沈んでいく海底カメラ

海底カメラはドボンと海に放り込まれ、ぐんぐん沈んでいくのですが、沈んでいく様子が船の上からはっきり見えるのです。これも海水の透明度がとても高いからですね。沈んでいくカメラに向かって手を振ったのでした。

水中のカメラの映像。誰かが船の上から手を振っているようですね

アカモクという海藻の林の中を落下中

(海底カメラ) こんにちは、2ヶ月ぶりです。

ひやーと冷たーい。いきなり、冷たい海に投げ込まれてしまいました。海の中は白い風景が広がっています。水面を見上げると誰かが手を振っているような感じでした。

大きなアカモクが林のように海中にたなびいている中を急速潜航している感じで、とても荒っぽい扱いを受けています。

水深は2m程度で比較的浅いようです。ダイエットして身が軽いので、海底にはふんわりと着地できます。

無事着地?!―あれ、何も見えない・・・?

着地の衝撃でもうもうと舞い上がる泥で何も見えません。それに先程までの白い世界が緑の世界に変わってしまいました。

緑の海底世界へようこそ!

数分後にはあっと驚く風景が。なんと、海底に寝転んでいるじゃないですか!「なんじゃこれっ」と叫んだ時にはすでに船はいなくなっています。

横倒しではありますが、それはそれで興味深い風景です。着地した場所は、小さい石が転がる岩場であちこちに海藻(おそらくミル?)が岩の間から顔を出しています。海水の透明度は5mくらいの遠方が見通せるほど透き通り、海中を見渡すことができます。最初に計画した風景ではないのですが、結果オーライですね。

じっと眺めていると、遠くの海藻も近くの海藻も海の大きな流れのタクトにしたがってオーケストラのように一斉にリズムを踊っている不思議な世界です。その中を小さい浮遊物が嵐に舞う木の葉のように眼前を横切っていくのも見えます。

しばらく見つめていると、一匹の魚がやってきました。魚は何度も顔を出したり引っ込めたりして消えていきます。冬の瀬戸内海は、生物が豊かな世界であることがこれだけでもよくわかります。

カメラからの映像。爽風丸に回収されます

 

こうして1時間の短い旅でしたが、いきなり海上に引き上げられて実験は終わりを告げました。

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無事に海底カメラの実験は終わりました。今回の実験により、ほぼ海底カメラの機能面のテストは終了となります。画面上を移動する浮遊物をカメラで追いかけて、海流を3Dで解析するという目標もこれで実現できそうであることがわかりました。今後は、里山・里海プロジェクトの目的である藻場の探査のための長期間の本格実験に進む予定です。皆さんと海で出会うことがあれば手を振って挨拶してくださいね。どうもありがとうございました。

 

学長から一言:海底カメラ君は、大幅ダイエットに成功し、知力は大幅アップ。。。「う・ら・や・ま・し・い!!!」じゃなくて、「す・ば・ら・し・い!!!」。。。藻場は瀬戸内の貴重な財産なのに、その生態や機能が十分解明されないうちに、どんどん衰退して。。。海底カメラ君、がんばって!

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