【経済学部】海外研修(タイ)レポート(報告2)
びんご圏域連携グローバル人材育成事業による海外研修に行ってきました!
~海外研修報告第二弾~
第1弾では移動と文化研修(観光)の様子をレポートしましたが、第2弾では本題の企業研修についてお伝えします!(投稿は、税務会計学科 関下)
2018年12月9日(日)から15日(土)の日程で、平成30年度びんご圏域連携グローバル人材育成事業による海外研修として、タイ(バンコク・パタヤ等)を訪問しました。参加者は備後圏域の4大学(福山市立大学、福山大学、福山平成大学、尾道市立大学)の学生20人と引率教員4人からなり、本学からは6人の学生(2年生:6名)と経済学部税務会計学科の大城講師が引率教員として参加しました。(以下、報告文は、大城)
学生は、事前の講義(第1弾で報告した宮地茂記念館にて行われる講義で、福山大学の科目名は経済学特講Ⅱ)において、理論や概念を学ぶとともに備後圏の企業の方を講師としてお招きし、海外展開について学びました。そのうえで、今回の研修ではタイに拠点を置く企業様より、現地においてもレクチャーを受けるとともに生産現場を見学させていただきました。
12月11日(火)
研修の主目的である企業研修が始まりました!この日の研修先は、バンコク市内にあるJICA ThailandとHayakawa Eastern Rubber Co.,Ltd.(早川ゴム)です。
JICAではODAをはじめとするタイにおける取組や「中進国の罠」と呼ばれる現象を回避するために、次世代産業の導入や産業の高度化を図る施策「Thailand 4.0」が展開され、そのなかで多くの日本企業が多様な取り組みを進めているという現状についてご説明をいただきました。
(JICAでの質疑応答の様子)
(JICAエントランスにて)
Hayakawa Eastern Rubber Co.,Ltd.(早川ゴム)では、タイでの事業内容等についてご説明をいただいた後、2班に分かれて敷地内に植えられているゴムの木から樹液採取をする体験とともに、自動車用マットやエアコン等に使用されるダンパーの製造現場を見学させていただきました。
(Hayakawa Eastern Rubber Co.,Ltd.において樹液採取を体験している様子)
12月12日(水)
この日は、チョンブリ県にあるMAZDA Powertrain Manufacturing (Thailand) Co.,Ltd.(マツダ)とラヨーン県にあるRyobi Die Casting (Thailand) Co.,Ltd.(リョービ)に研修に伺いました。
(MAZDA Powertrain Manufacturing (Thailand) Co.,Ltd.における研修の様子)
マツダでは、タイでの事業内容等についての説明後、エンジンの組み立て加工現場などを見学させていただきました。タイ工場では多品種少量生産を効率的に行うために「キットサプライ方式」が採られているということで、その様子も間近に見ることができました。
(Ryobi Die Castingにおける研修の様子)
午後には、RYOBIを訪問しました。RYOBI では、エンジンブロックやトランスミッションケースなどが生産され、金型を使った製品製造工程を見学させていただきました。
午前中からのMPMT(マツダ)の工場からの流れと併せて、今回の研修においては、完成品メーカーと部品やパーツが生産される企業(Tier1・Tier2)というサプライチェーン(供給の鎖)をたどる形となっており、非常に貴重な機会を与えていただき、感謝と喜びの念に堪えません。
12月13日(木)
この日は、KITAGAWA(THAILAND)CO.,LTD(北川鉄工所)とCASTEM(Siam)Co.,Ltd.(キャステム)に研修に伺いました。
北川鉄工所では、M&Aから始まったグリーンフィールド投資ではない会社であることの難しさや人材マネジメントの難しさを感じていることなどが説明されました。
(KITAGAWA(THAILAND)CO.,LTDにおける研修の様子)
午後からの CASTEM(Siam)Co.,Ltd.(キャステム)での研修では、工場附随の社員食堂なども拝見しながら夜間製造も行っていることなどの説明を受けました。
(CASTEM(Siam)Co.,Ltd.における研修の様子)
ご対応をいただいた三野マネージング・ディレクターより、学生に向けて次のような非常に印象深く、現場におけるダイバーシティマネジメントの重要性を表現している言葉をいただきましたので、お届けしたいと思います。
「皆さんは、グローバル人材育成事業において海外研修を実施されているということなので、今後世界で活躍されるような方々なのかと思いますが、タイに13年住んでみて日本の常識がタイでは通用しないということが多々ありました。そこには違いがあります。イライラするようなこともありますが、違う文化があって違う人がいるというだけです。この人は考え方が違うのだな、このような考え方もあるのだなという、お互い歩み寄るということが重要です。違う者同士がどうやって歩み寄っていくのか、壁にぶち当たった時には違いがあるということを前提に考えてほしいと思います。お互いの違いを理解し、なおかつ自分の意見も言えることが重要であると考えています。」
キャステムは、生産の9割をフィリピン、タイ、コロンビアで行っているグローバル企業でもあり、近年、学生の就職先として人気の高い企業となっています。今回の取り組みでは、日本での講義とタイでの取り組みを目の当たりにしてレポートでも多くの学生がキャステムについて触れており、さらに興味が増したようです。
12月14日(金)
あっという間に研修最終日となってしまいましたが、本日はとうとう恐れていたことが起ってしまいました。体調不良者の発生です。12月の日本の気候とは真逆の高温多湿の気候の中で、香辛料の聞いたタイ料理による胃腸への刺激と相まって疲れが出てしまったのかもしれません。
体調不良の学生は研修先であるHORKOS MANUFACTURING (THAILAND) CO., LTD.・HORKOS(THAILAND) CO., LTD.(ホーコス・マニュファクチャリング・タイランド株式会社・ホーコス・タイランド株式会社)の医務室で休ませていただきながら、他の学生は研修に臨みました。
(HORKOS MANUFACTURING (THAILAND) CO., LTD.・HORKOS(THAILAND) CO., LTD.における
マシニングセンタ見学の様子)
ホーコスでは、会社概要や製品の取引先などのレクチャーを受けた後、マシニングセンタや加工機械などを見学しながら加工機械や切削油の重要性を交えながら工場見学をさせていただきました。
学生からは、タイで製造して日本へ製品を送るメリットや職場環境において気を配っていること、特許に関する質問や新たに工場を開設する場合の立地戦略などについての質問が挙がりました。
また、タイ人の工場長へ向けて、日本企業で働くことのメリットについての質問がなされました。工場長への質問は後藤社長によってタイ語に訳され、工場長が流暢な日本語で、次のように回答してくださいました。「日本企業による厳しい品質管理は素晴らしく、日本企業で働きたいと考えているタイ人は多いと思う。日本製のものはあちこちに溢れており、造ることができるものを勉強していきたい。」進出先の現地の方の立場から、しかも日本語によるお話を伺えたことは学生にとって非常に貴重な体験となりました。
(HORKOS MANUFACTURING (THAILAND) CO., LTD.・HORKOS(THAILAND) CO., LTD.エントランスにて)
今回の研修では、4大学の学生が一緒に研修を行うことにより、他大学の先生や生徒の皆さんと交流を持つことができました。それだけでも貴重な研修でしたが、座学で学んだ理論や概念をふまえつつ、実際に海外における事業の様子を見学さていただいたことで、海外展開の意義や企業が海外事業に際して直面する課題等について深く理解することができました。
また、自動車メーカーの工場からその部品を生産する鋳造・切削の現場、さらにそれらを生産するための工作機械の製造工場といったサプライチェーンを実際に、しかも海外において見学させていただいたことは産業構造と連関を理解するという意味でも非常に有意義で貴重な研修となりました。
最後になりましたが、本研修の実現にあたっては、福山市や備後圏域の各企業の皆様をはじめ、グローバル人材育成事業実施協議会に関係する多くの皆様から多大なご支援をいただきました。深く御礼を申しあげます。誠にありがとうございました。
学長から一言:福山市やびんご圏域の海外展開されている企業様には、大変お世話になり、ありがとうございました!!!滅多に得られない、貴重な体験と学修の機会を学生達は得ることが出来ました。。。今後の学修にしっかり生きてくるでしょうし、さらに卒業後の進路にも生かされるのではないかと思います!